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人間の仕事はAIにやってもらおう。最強将棋ソフト「Ponanza」開発者が語る未来のかたち

2018/12/30(日) 10:05配信

BuzzFeed Japan

「初期のポナンザは、おぞましいほど弱かった」

プロ棋士相手に、ほぼ無敵を誇ったモンスターマシン「ポナンザ」。いまでこそ伝説的な将棋AIとして語られるが、当初は「おぞましいほど弱かった」という。

「将棋では、お互いが交代で駒を動かします。なので、想定される色々な局面で、私が決めた評価関数(指し手を点数化したもの)に従って、自分にもっとも有利だと思われる手を選ぶというプログラムでした」

山本自身、アマチュア5段の棋力を持つ。そんな自分が作ったのだから、プログラムも強くなると思っていた。

だが、結果は散々だった。東大将棋部の面々にはコテンパンに撃ち砕かれ、おもちゃにされる始末だった。

「将棋プログラムをつくるには、自分が将棋を指す時に何を考えているのかを数値化して、落とし込む必要がありました」

「でも、それが難しかった。自分が何を考えているのか、よくわからなかった。むしろ、何もわかってないんですよ」

最初はプロの棋譜を読み込んで、随分強くなった。でも、もっと強いプログラムを作りたかった。

10の220乗とも言われる想定局面。それを人の手で評価関数を入力するには限界がある。そこで取り入れたのが機械学習だった。

何らかの改良を加えたポナンザを、以前のバージョンのポナンザと何度も対局させる。改良版のポナンザの勝率が上回れば、その改良を採用する。

ポナンザ同士が繰り返した対局はおよそ700万局。人間が1年に3000局の対局をしたとしても、およそ2000年以上はかかる。ポナンザは、未だ人類が見たことがない局面を調べ、勝敗結果のフィードバックを得ていく。

この機械学習が、ポナンザを最強の将棋AIへと進化させた。

「人間は変わることが苦手な生き物です」

ただ、この機械学習を快く思わなかった人もいたと山本は明かす。

「大前提として、人間は変わることが苦手な生き物です。例えば、現代の自動車のほとんどはガソリン車ですが、電気自動車が出てきて後追いをしていますよね」

「でも、ガソリン車って歴史があって、インフラも整っていて、洗練されている。関わっている人々の数やシステムも巨大。それを切り崩すのは大変です」

「プログラムも同じです。評価関数は、昔から人の手でつくってきた。先人たちが血の滲むような努力をして、一定程度の成功を収めてきた。でも、機械学習によってプログラマーたちの存在意義がなくなるかもしれない」

「IT革命の中心にいたのは、いつもコンピュータで、その傍らには常にプログラマーがいました。でもコンピュータの中ですら、いやむしろ、コンピュータの中こそ最も技術的な失業が激しい分野の1つなんです」

「私はその中でも新しい勢力でした。当然、人の手よりも効率的な、コンピューター自身に学ばせる機械学習をやりますよね。私自身、何も持っていなかった。だから、絶対に機械学習が勝つと思っていました」

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最終更新:2018/12/30(日) 15:06
BuzzFeed Japan

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