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<盗撮の闇(5)>進まぬ法整備 罰則軽く歯止めならず

2018/12/31(月) 16:55配信

佐賀新聞

 壇上のスクリーンに、「盗撮罪」の新設に向けた提言が映し出された。「全国一律に盗撮を規制する法律がない。既存の法律、条例の改正や解釈では限界。時代遅れの法整備という現状がある」。11月下旬、東京都であったシンポジウムで、性犯罪被害に詳しい上谷さくら弁護士がマイクを握り訴えた。

 日本に性的な盗撮に特化した法律や刑法の条文がない中、上谷氏ら弁護士有志でつくる犯罪被害者支援弁護士フォーラムが「盗撮罪」の試案を考えた。同意のない性的な撮影の一律取り締まり、盗撮映像の提供と受け取りの規制、インターネット上などへの拡散禁止を盛り込んでいる。

条例で摘発

 警察が現在、性的な盗撮の摘発で主に適用するのは、各都道府県で定められた「迷惑防止条例」。1年以下程度の懲役刑から罰金まで罰則に地域差があり、盗撮の定義も異なる。

 佐賀県は2月の条例改正で公共スペースに加え、学校や会社など「特定多数」の人が利用する場所にも規制を広げた。ただ、山口県などは今も、そうした場所のトイレや更衣室は対象外。佐賀県も東京都と比べると緩く、自宅や自家用車は含まれない。

 軽犯罪法で摘発するケースもあるが、罰則は「科料1万円未満」など。盗撮犯らが盗撮映像の販売で多額の利益を上げる中、「罰則が軽すぎて歯止めにならない」と上谷氏。犯人が写真や動画を所有したままだと、ネット上に流出する恐れがあるが、現行では没収できない場合もある。

 法整備に向けた動きは過去にあった。一部の国会議員が2005年当時、性的盗撮の罰則強化や映像流出の禁止を盛り込んだ「盗撮防止法」の議員立法を提唱していた。しかし、趣旨が異なる「映画盗撮防止法」ができただけだ。

海外は厳罰化

 2000年代成立の「ストーカー規制法」と「ドメスティックバイオレンス防止法」は、被害が社会問題化し立法に至った。一方、盗撮は被害が発覚しづらい特性がある。「声を上げる被害者が少なく、世論の機運が高まらないことも法整備が進まない要因の一つでは」。上谷氏は推し量る。

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最終更新:2018/12/31(月) 16:57
佐賀新聞

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