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【Mrs. GREEN APPLE インタビュー】例え努力が報われなくてもそれまで歩いてきた道の全てを肯定してほしい

1/4(金) 10:02配信

OKMusic

2019年の幕開けを飾るニューシングルは、第97回全国高校サッカー選手権大会 応援歌として書き下ろした「僕のこと」。あえて従来の応援歌のイメージを覆す、壮大なロックバラードに込めた想いとは?

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──高校サッカー選手権 応援歌ということで、サッカー経験者の若井くんは特に喜んでるのではないかと。

若井:めちゃめちゃ嬉しいです。サッカーをやっている人間にとって高校サッカーは憧れの場所だったので。中学生まで10年間サッカーをやってて、そのあとに音楽の道に行って、またこういう形で携われるのがすごく嬉しいです。

大森:僕はあんまり勝負事にフォーカスを向けて曲を書いたことがなかったので、誰に向けて書くかを考えた時、一番は出場する高校生たちに向けて書くべきだと思いました。好きな曲とか良い曲とかは別として、自分の思い出の曲になるわけじゃないですか。

──“あの冬の思い出”が刻み込まれた曲になるでしょうね、あとで振り返った時に。

大森:だからこそ、特に歌詞には妥協したくないと思いました。“頑張れ”とはひと言も言ってないので、どういうふうに届くかは分からないけど、大人になった時に、その時の熱い気持ちをふんわり思い出せるような曲として、その子の中で生きればいいなと思って書いていきましたね。無責任に“頑張れ”とは書きたくないと思ったのが最初でした。負けたチームも、それまでのことも全部肯定できる人生だということを定義するのが、僕なりの応援歌なのかなと。

──この曲に対するメンバーの受け止め方は?

山中:初めて聴いた時、中学生時代に部活でソフトボールをやっていたことを思い出しました。毎日練習して、試合があって、勝ったり負けたりがあって。自分のチームはそこまで強くなかったこともあって、悔しい想いをいっぱいしたこととかを思い出しましたね。レコーディングする時にも“そう言えば、こんなこと思ってたな。なんで忘れちゃったのかな”みたいな気持ちを持ちながら演奏したと思います。すごくサラッと録れて、自分の気持ちが一発で決まったような感じでした。

──リズムにマーチングっぽい部分があったりして、ただのロックバラードになってないところがいいなと。

山中:はい。大森が“この曲は人生賛歌だ”と言っているのを聞いて、明るくも聴こえるけど淡々とも聴こえるような複雑な感じが表現できたと思ってます。

髙野:大森も“普通のバラードにしたくない”と言っていたので。ただの良い曲で終わらずにちゃんと刺さるものにしたくて、ベースも歪んでいたりとか、いい意味で粗い部分が今回はすごく出せたかなと思いますね。

若井:曲調が壮大なバラードである中で、荒々しかったりヒリヒリする部分をギターでは表現しました。高速でガチャガチャってカッティングするところとか、そういう部分もこの曲には必要だと思ったので。

藤澤:バラードを支えるピアノのコード感ではあるんですけど、ところどころにジャジーなフレーズが入っていたり、力強さを持ったフレーズが要所に入って、聴き流せない曲のポイントを作れたと思います。『ENSEMBLE』(2018年4月発表の3rdアルバム)で培ってきたいろんなジャンルのいろんな面白い要素を踏襲して、次のステップに進めたと思いますね。“僕のこと”というタイトルで思うのは、小さい頃からピアノやフルートに一生懸命だった自分のことや、ミセスに入るまでのことで、みんなと出会ってから感じたことも情景として浮かべながらレコーディングすることができました。最近はそういうイメージを浮かべながら、感情を音で表現できるようになったのがすごく大きいと思ってます。

──“奇跡”は起きなくてもそれがいつか“軌跡”になる…あそこの歌詞が、インパクトも含めより印象的ですごく好きです。

大森:嬉しい。《奇跡は死んでいる》という歌詞は、最初は言葉が強すぎるから駄目だと言われたんですよ。でも、ニュアンスを変えて言い直しても、この一文にかなうことは絶対ないし、意味が弱まるだけなので。それは高校生たちに妥協した気がするから、絶対にあってはいけない。全然否定的なことを言ってるわけではなくて、例え奇跡が死んでしまっても、例え努力が報われなくても、それまで歩いてきた道の全てを肯定してほしい。負けたところで終わりじゃなくて、それをも“そういう道だ”と高校生たちに言えたらいいなと思って書いた言葉です。

──元貴くんにもそういう経験がある?

大森:誰だってありますよね。側で見ていると、ミセスはここ1~2年、かなり報われているバンドだと思うんですけど、自分も音楽を始めて10年になるわけだし、それなりにいろいろあるわけで。パブリックイメージとしてポップでさわやかで元気なミセスが、こういう曲を歌うところに意味があるのかなって思います。

──そんなミセスが2019年にどんな活動を見せてくれるのか。

大森:今は内向きだと思います、とてもいい意味で。バンドを組んだ時は自分らだけのMrs. GREEN APPLEだったものが、いろんな人に聴いてもらうようになって、だからこそもう一回僕らが内側に意識を向けないとただ流れて行っちゃう気がするし、消耗されて終わるだけの気がするんで。今のモードとしてはみんな内向きに、自分らが何を鳴らしたくて何をやっているのかを、音楽を作りながら考えてる感じですね。

──なるほど。

大森:そうやってみんなが内を向いてるからこそ、もっと音楽的に突き詰めたい気持ちがありますね。どういう風に見られたいかとかじゃなくて、何を鳴らしたいかという、そういう2019年になると思います。『ENSEMBLE』を出してツアーを回って、幕張メッセにまで辿り着けたからこそ、もう一度内にこもってみる…二面性を持つという意味で。下心なしで音に関わる一年にしたいと思います。

取材:宮本英夫

OKMusic編集部

最終更新:1/4(金) 10:02
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