ここから本文です

2019年になりましたが…紅白の出演者を振り返る5曲

1/7(月) 18:02配信

OKMusic

あけましておめでとうございます。2019年一発目の『ランキングに出てこない~』コラムですが、題材を何にすべきか懊悩しすぎたため、年末年始あまり休んだ気がしません。“平成最後の~”は食傷気味ですし、三ヶ日は寄席の初席に通っていたのでYMOの特番も『ボヘミアン・ラプソディー』もThe Slitsのドキュメンタリー映画も観ていないし…と、冷や汗を垂らしながらバックナンバーを辿っていたところ、意外にも他のライターさんが紅白を取り上げていないことに気付きました。せっかくの機会ですので、“キングギドラ vs メカゴジラ”のごときフィナーレを迎えた『第69回紅白歌合戦』を振り返りつつ記事を書いていこうと思います。ここまで読めばお察しいただけると思いますが、このコーナーを担当している我々、誰がどんなテーマで書くと話し合う場は一切設けておりません。ライターというのは孤独な商売なのです。

「Crazy Crazy」(’14)/星野 源

『おげんさんといっしょ』枠と「アイデア」歌唱でJ-POPの中軸っぷりを見せつけた星野源が2014年に発表した楽曲。『シャボン玉ホリデー』におけるクレイジーキャッツを彷彿させる演出を取り入れたMVや、孤独や諦観の瓦礫の上に立つような歌詞は“虚無の騒乱”といった風情ですが、ブラックミュージック的なアプローチの脈動するピアノは凍える肌の裏側で滾る血のように躍動的で、しなやかなスナップの効いたドラム、間隙を縫うように跳ね回るベースが、あらゆる予兆を蹴散らすような賑やかさと力強さを象っています。自身が足を着ける地の位置は変えないまま、フィールドを押し広げながらポップスとカルチャーをより豊かにしていく彼の決意が結晶したナンバーです。

「翳りゆく部屋」(’76)/荒井由実

NHKホールへのサプライズ降臨で視聴者や観客のみならず、共演アーティストをも号泣させたユーミン。荒井由実時代にリリースした「翳りゆく部屋」は、椎名林檎やエレファントカシマシ、徳永英明ら錚々たるミュージシャンがカバーしています。アコースティックギター1本、あるいはピアノの和音の繰り返しだけでも際立ちそうな楽曲ですが、オリジナルバージョンは荘厳なパイプオルガンやコーラスに始まり、光芒の中に揺らめく埃のような残影を刻むギターやドラムがドラマチックに重なります。複雑な演奏に織り込まれることなく、別れによって取り残された“わたし”の心情というパーソナルな歌詞を、海を割る航路を描くように歌い上げるヴォーカリストとしてのユーミンの凄絶さに息を飲みます。

1/2ページ

最終更新:1/7(月) 18:02
OKMusic

あなたにおすすめの記事