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えっ、盗まれないの? 無人の古本屋は、なぜ営業を続けられるのか

1/9(水) 8:11配信

ITmedia ビジネスオンライン

 東京の三鷹駅から徒歩15分ほどのところに、ちょっとユニークな古本屋がある。商店街に面した店舗の広さは、たったの2坪。4つの棚が並んでいて、そこに500冊ほどの本が並んでいる。普通の書店にはスタッフがいて、レジが置いてある。しかし、この店には誰もいなくて、レジも置いていない。24時間営業で、扉にはカギもない。

【無人古本屋の店内を見る】

 「スタッフがいないって、やる気があるのか。すぐに潰れるね」と思われたかもしれないが、店は2013年4月にオープンして、黒字を確保しているという。

 無人古本屋の店名は「BOOK ROAD」。店内にさい銭箱のようなモノが置いてあるのかなと思いきや、300円と500円のカプセルトイ本体が設置されている。本の後ろに価格が記されているので、値段分のカプセルを購入すれば、会計は終わり。無事、本を手にすることができるのだ。

 売り場に誰もいないといえば、地方で見かける野菜の無人販売所を想像する人もいるかもしれないが、記者は2つのことが気になった。1つは、本が盗まれないのか。もう1つは、5年以上もどうやって運営してきたのか。

 この謎を解くために、BOOK ROADのオーナーを務める中西功さんに話を聞いた。ちなみに、中西さんは大手IT企業で働いていて、古本屋は店舗を用いた無人販売が成立するかという社会実験がしたく、副業として手掛けているとのこと。聞き手は、ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則。

無人古本屋を始めたきっかけ

土肥: 書店といえば、棚にたくさんの本が並んでいて、店員さんがいる。会計をするためにレジが置かれているわけですが、この店は違う。店内に誰もいないし、レジもない。レジの代わりにカプセルトイの機械を置いているわけですが、なぜこのような古本屋をオープンしようと思ったのでしょうか?

中西: 僕は本が大好きなんですよね。めちゃめちゃ買い続けていたら、自宅に千冊ほど置くことに。当時、狭いアパートに住んでいたこともあって、妻から「処分してほしい」と言われました。でも、本は大好きなので「捨てるのはもったいないなあ」と感じていたんですよね。書店も好きだったので、漠然と「本屋をやりたいなあ」と考えていました。

 コンサルティングの仕事をしていた時には、「新規性が必要ですよ」「やり方次第ですから」などと言っていました。そんな偉そうなことを言っておきながら、オリジナリティを感じられない書店をつくったら、「言っていることと、やっていることが違うじゃないか」と突っ込まれますよね。ただ、希少性のある本は持っていませんし、広い店舗を持っているわけでもありません。そんな状況のなかで、どうしたらいいのかやりたいことをノートに書き出してみたときに、「決済」に特徴があるお店をつくったらいいのではないかと思いました。

 地方に足を運ぶと、無人の野菜販売所がありますよね。じゃあ、無人で本を売ることができればおもしろいのではないかと。

土肥: オープンする前、そのアイデアは周囲の人に相談しましたか?

中西: 友人、知人、妻に相談したところ、ことごとく大反対されました。「止めておけ。そんなビジネスが成立する以前に、盗まれるだけで無人の販売方法が成立するわけがない」と。あまりにも反対されるので、自分が考えていることはおかしいのかなあと感じたのですが、反対されればされるほど、新規性の部分がとがっているのではないかと考えました。

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