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この謎の小動物は..? 将軍「徳川家光」が描いた“ヘタウマ水墨画”が初公開

1/9(水) 20:00配信

FNN PRIME

これが将軍の画風!?

美術の世界は奥が深い。細部まで描かれた絵画から前衛的なアートまで、作品ごとに違った表情を見せてくれる。
国内でも、狩野永徳や葛飾北斎、上村松園や横山大観ら各時代の巨匠が、現在に語り継がれる作品を生み出してきた。

【画像】徳川将軍のヘタウマ作品はこちら

だが、人の心を捉えるのは写実的な作品ばかりではない。上手とは言えないが、なぜか魅力を感じる作品は多い。
「ヘタウマ」とも称されるこのような作品、誰もが名前を聞いたことがある“あの将軍”も世に残していた。

球体に描かれた頭部はふわふわな毛に覆われ、耳のようなものが生えている。
中心部の顔には、くりくりとした黒目と心なしか笑みを浮かべているような表情が見え、その全体像はまるで「ゆるキャラ」である。そして胴体部分はどうなっているのか…

それにしてもなんとも可愛らしいこの絵、作者はなんと江戸幕府の3代将軍「徳川家光」だという。
題名が「兎(ウサギ)図」であることから、どうやらウサギらしい。…そう言われるとそう見えなくもないが将軍のイメージとはかけ離れた画風に驚く。

徳川家光は参勤交代の制度化や鎖国政策を進めるなど、江戸幕府の礎を築いた人物。諸大名に「余は生まれながらの将軍である」と語った逸話があるように、気の強さも持ち合わせていたよう。筆者は「兎図」を見たとき思わずほほ笑んでしまったが、時代が時代なら「不届き者!」と怒られていただろう。

この作品、東京・府中市の府中市美術館が開催する企画展「春の江戸絵画まつり へそまがり日本美術 禅画からヘタウマまで」で初公開される。
見るものに何かを訴えかける作品を生んだ、家光の絵画の腕前はどうだったのだろうか?府中市美術館の学芸員に話を聞いてみた。

「上手ではないかもしれないが、これが家光のスタイル」

ーー「兎図」はどんな構図で描かれている?

ウサギが木の切り株の上でたたずむ様子を、正面から描いたものと思われます。江戸時代、ウサギは縁起の良い動物として知られ、焼き物や装飾品などの図柄にも使われていました。この模様には正面からの構図も多かったため、制作のヒントになったのではと考えられます。


ーーいつの時代の作品?

残念ながら詳細は不明です。その画風から「子どもの頃の作品ではないのか」という人もいますが、家光が40代の頃に描いた「木兎(ミミズク)図」も同様のタッチで描かれています。これが家光のスタイルなのでしょう。


ーー失礼ですが、本物?

家光の作品には署名や落款がありません。ですが、徳川家に家光の作品として伝わっている絵画と画風が同じであるため、本物とみて間違いありません。


ーーこの時代の画風は?

江戸時代は多くの絵師が活躍した時代でした。当時は「狩野派」と呼ばれる画家集団が文化の主流で、この狩野派は幕府に仕え、作品の献上や身分の高い人の美術指導などを行っていました。当然家光も指導を受けていて、一部の作品には狩野派の影響が見受けられる絵画もあります。

しかし「兎図」や「木兎図」などは、当時の画風とは異なる描き方をしています。通常の水墨画と同様、墨と筆を使っていますが、毛の描き方などは写実的で妙なリアルさがあります。恐らく、墨が乾いてカスカスになった筆を使い、まるでデッサンをするように描いたのではないかと考えています。


ーー家光はどのくらいの作品を残している?

これまで見つかっている作品は約20点ほどです。

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最終更新:1/9(水) 20:00
FNN PRIME

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