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「牌詰まり」見抜き、修理した雀卓4万台 60歳で会社倒産もカムバック、波乱の業界渡り歩くレジェンド

1/13(日) 7:00配信

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 新しいプロリーグ「Mリーグ」が開幕し、話題が多い麻雀の世界。対局をする時に欠かせないのが、全自動麻雀卓です。麻雀牌を混ぜて積む、その構造を知り尽くし、会社を渡り歩きながら、修理し続けてきた技術者がいます。埼玉県川口市の麻雀用具販売・修理会社「ささき商事」の宮川秀一さん(66)。37年間で修理した数は延べ約4万台。雀卓業界のレジェンドは、今も現役で修理を続けています。(朝日新聞経済部記者・千葉卓朗)

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ヤニまみれの卓も新品同様

 卓上の緑色のマットが所々白くはげた全自動麻雀卓が、東京・新橋の雀荘からささき商事に送られてきた。1996年製の「センチュリー」。幾多の戦いの舞台となった卓上には、電源を入れても牌が現れない。宮川さんが、66センチ四方の卓の天板を開くと、中はホコリとたばこのヤニまみれ。100個以上の全パーツを点検し、再び商品として送り出す「オーバーホール」に取りかかった。

 部品の取り外しは手作業。全部品の位置関係が頭に入っていて、手の運びに迷いがない。修理に使う道具は、長さ32センチのドライバーとT型の六角レンチの二つ。ホームセンターで普通に買うことができるものだ。これだけで、分解も組み立ても作業のほぼ全てをこなす。

 牌の通り道を点検すると、ホコリがたまって「牌詰まり」の原因になっていた。部品は全て洗剤で水洗いし、バネやゴムなどの消耗部品や卓上マットは取り換え、元通りに組み上げる。再び電源を入れると、センチュリーは新品同様に動き出した。

業界の生き字引的存在

 全自動雀卓が登場したのは、全国で3万軒以上の雀荘が乱立した80年代前半ごろ。宮川さんは、その頃から業界に身を置く生き字引的存在だ。37年間で修理した全自動雀卓は延べ約4万台。今は、十数種類ある国内産全機種を修理できる「唯一の会社」(佐々木覚社長)の最年長社員として、現場を支える。

 全自動雀卓は日本独自の製品として進化してきたが、雀荘がピークの4分の1ほどにまで減り、近年はメーカーの倒産や事業撤退が相次いだ。それでも今も約15万台が稼働中といわれ、ささき商事には年間約2千件の修理依頼が来る。高齢者を中心に「健康麻雀」が広まり、中古品を求める公民館や介護施設が増え、オーバーホールも多い。

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最終更新:1/13(日) 7:00
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