ここから本文です

吉田沙保里さん、涙なし引退会見「全てやり尽くした」結婚にも意欲

1/11(金) 6:00配信

スポニチアネックス

 レスリング女子で五輪3連覇など16大会連続世界一を成し遂げ、8日に現役引退を表明した吉田沙保里さん(36=至学館大職)が10日、都内で引退会見を開いた。若手の台頭を感じ、33年間のレスリング人生にピリオドを打つことを決意したと告白。今後は日本代表コーチなどとして後輩の育成にあたるほか、結婚にも意欲を見せた。

 涙はなく、会見場は終始爽やかな雰囲気に満ちていた。白いジャケット姿で登場した吉田さんは時に笑みを浮かべ、珍妙な質問にも誠実に返答。「改めて自分自身と向き合った時に、レスリングは全てやり尽くしたという思いが強く、引退することを決断した」とのコメントにも未練は感じられなかった。

 20年東京五輪への思いは断ち難く迷う日々が続いた。決め手となったのは、若手選手が世界で活躍する姿だったという。「この子たちにバトンタッチしていいのかなと思うようになった。練習している中でも若い子たちの勢いを感じた」。五輪代表選考のスタートとなった昨年12月の全日本選手権を見て最終的に決断。母・幸代さん(64)に最初に伝えると「あなたが決めたことだからそれでいい」とねぎらわれ、恩師の栄和人・元至学館大監督(58)には「俺が泣きそうだよ」と言われた。「体力が落ちたり衰えている中で本気になったらとの思いもあったが、気持ちの部分が追いつかなかった」と明かした。

 全日本選手権では、ともに女子レスリングを引っ張ってきた2歳年下の伊調馨が復活優勝。東京五輪挑戦を宣言したが、「心は動かなかった」という。それでも「ずっと仲間として頑張ってきたので、東京を目指すと馨の口から聞いた時は率直に凄いなと感じた」と話した。一方、伊調への栄氏のパワハラ騒動には「ショックだった。後輩たちがそれに悩まされて試合で結果が出なかったのが一番つらかった」と告白。「前を見て、東京五輪へ向けて一つになって頑張らないといけない」と訴えた。

 今後については選手らの指導に携わるほか、「レスリング以外もやっていきたい」と希望。キャスターを勧める声には「バラエティーが好き。笑顔でいるのが好きなので向いていると思う」と答えたが、「やっぱり女性としての幸せも絶対につかみたい」と語気を強めた。もっとも「結婚の予定は?」の質問には「ないです」と苦笑いで即答した。

 3歳でレスリングを始め、高速タックルを武器に五輪3連覇を果たすなど霊長類最強女子と言われた。国民栄誉賞も受賞し、注目を浴びる種目に押し上げた。人生そのものだった競技に一つの区切りをつける。ただ、今もマットに別れを告げてはいない。「現役選手としてしっかり別れを告げないといけない。でも、これからまだまだ後輩たちと汗を流していくと思うので告げることもないかな」。レスリング界に恩返しするため、汗と涙の日々を過ごしたマットに今後も立ち続ける。

あなたにおすすめの記事