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スポーツ記者リポート 駅伝は「絆重視」か「安全第一」か

1/11(金) 10:42配信

産経新聞

 正月の風物詩でもある箱根駅伝は東海大の初優勝で幕を閉じた。関東地区では往路、復路の平均視聴率が過去最高の31・4%(ビデオリサーチ調べ)をマーク。本命視されていた青山学院大が5連覇を逃す波乱含みのレースになったことも、例年以上に注目を集める結果につながった。

 2日間にわたる熱戦をテレビで見ていたが、今回は1区からハラハラさせられる展開だった。スタート直後に大東大の新井康平選手(4年)が他の選手と接触して転倒。すぐに立ち上がって走り出したが、苦悶(くもん)の表情を浮かべながら足を引きずる痛々しい姿が映し出された。そこから20キロ以上を走ってタスキをつないだ精神力は称賛に値する。ただ、レース後には左足首の捻挫と診断され、復帰には半年近くを要するという。選手生命にも影響しかねない大けがだった。

 テレビ画面に必死の思いで前に進む新井選手が映し出されると、中継局の実況アナウンサーは情に訴えかけるように「頑張れ新井、タスキをつないでくれ」と大声で叫んだ。テレビの前で同じ思いを抱いた視聴者は多かっただろう。一方で、男子マラソンの日本記録保持者である大迫傑(すぐる)(ナイキ)は自身のツイッターで「心配する場面ではあるけど、感動する場面ではない」と反応。陸上関係者として選手の足の状態を一番に心配していた。

 駅伝は日本発祥のスポーツ。中学、高校、大学、実業団とそれぞれに全国大会があり、今月には各カテゴリーの選手が集う都道府県対抗駅伝も開催される。懸命に仲間にタスキをつなごうとする姿が「絆」を重んじる日本人の心に通じるものがあり、人気の要因にもなっている。

 ただ、昨年10月の実業団対抗女子駅伝予選会でも、足を骨折した選手が四つんばいの状態で200メートル先の中継所まで進んだことが物議を醸した。その後の全国高校駅伝でも「医師の判断で競技を中止する場合がある」と競技要項に明文化されるなど、大会運営のあり方に一石を投じた。

 国際的にメジャーな種目ではない駅伝には統一されたルールはない。選手の安全を第一に考え、競技中止もやむなしとするのか、仲間にタスキをつなぎたい選手の思いを最優先するのか。各大会の主催者に判断を委ねるのではなく、明確なルール作りが必要ではないかと感じている。(丸山和郎)

最終更新:1/11(金) 12:10
産経新聞

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