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日立、英原発計画を中断へ 損失約3千億円、技術・人材の維持に暗雲

1/11(金) 12:28配信

産経新聞

 日立製作所が英国での原発建設計画を中断する方針を固めたことが11日、分かった。近く取締役会で決定し、約3千億円の関連損失を平成31年3月期に計上する見通し。安倍晋三政権のインフラ輸出戦略は見直しを迫られ、国内の原子力関連技術や人材をどう維持するかが重い課題となる。

 日立は24年に英原発事業会社「ホライズン・ニュークリア・パワー」をドイツ電力大手から買収。英中西部のアングルシー島に改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)2基を建設し、2020年代前半に運転開始するのが当初の計画だった。

 事業費は約3兆円で、英側が約2兆円を融資、残る約1兆円は日立、日本の電力会社や政府系金融機関、英政府と地元企業の3者がそれぞれ出資する計画。日立はこの枠組みで英原発子会社の持ち分比率を約3割に引き下げ、事業リスクを軽減する方針だった。

 しかし壁となったのが、事業費がさらにかさむ可能性や、事故発生時に想定される巨額賠償だ。英側との調整は難航し、日立が出資を期待する国内電力会社なども消極的だった。

 中断した場合の日立の損失は昨年9月時点で約2960億円に上り、判断が遅れればさらに膨らむ。中西宏明会長は昨年12月、「難しい状況というのは事実。もう限界だと英国政府に伝えた」と明かしていた。

 平成23年の東京電力福島第1原発事故後、日本で原発新設が難しくなった国内メーカーにとっての活路が海外輸出だった。

 もっともリスク分散や採算性が不十分なまま日本勢が突き進めば、米原発事業で巨額損失を出した東芝のように存続の危機にさえ陥りかねない。証券アナリストも「原発輸出の中止はむしろ株価のプラス要素」だと指摘。三菱重工業などによるトルコでの原発建設計画が断念の方向となっているのも「経済合理性の範囲内で対応する」(宮永俊一社長)との判断がある。

 ただ、国内新設も海外輸出も進まなければ、日本の原子力関連技術や人材の先細りが懸念される。「民間企業だけで対応できる問題ではなく、国が明確な政策を示すべきだ」(メーカー首脳)との声も上がる。(山沢義徳)

最終更新:1/11(金) 20:25
産経新聞

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