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軍用機はルール無用? レーダー照射問題、韓国の反論動画が挙げる「国際条約」とは

1/11(金) 6:03配信

乗りものニュース

そもそも「国際民間航空条約」とは?

 2018年12月20日に能登半島沖の日本海で発生した、韓国海軍駆逐艦「クァンゲト・デワン」が海上自衛隊のP-1哨戒機に対し火器管制レーダーを照射したと見られる件について、日本の防衛省が動画を公開したのに続き、韓国側も日本の主張に対する反論動画を公開しました。その内容および韓国側の主張は、おおむね以下の3点に要約されます。

【写真】実に低空飛行、アメリカ軍艦艇に迫るロシア軍機

(1)P-1が威嚇的な低空飛行を行った。
(2)日本は国際民間航空条約を恣意的に歪曲して解釈している。
(3)「クァンゲト・デワン」は火器管制レーダーを照射していない。

 これらのうち、(2)にある「国際民間航空条約」という単語は、あまり聞きなれないものかもしれません。

「国際民間航空条約」は別名「シカゴ条約」とも呼ばれ、民間航空会社による「国際民間航空」が、安全かつ整然と発達することを目指して、これらが担う航空運送業務に関するルールなどを定めた条約で、その当事国数は実に192か国にも上ります。外務省によれば2019年現在、日本が承認した国の数は196か国ですから、ほぼ世界中全ての国がこの条約に参加していることになります。

 また、この条約に基づいて設立されたのがICAO(国際民間航空機関)という国連の専門機関で、民間航空事業の安全な発達を目指すべく、ハイジャック対策などに関する新たな条約の作成や、航空運送業務に関する国際標準やガイドラインの作成などを行っています。ここで策定された国際標準は、先に述べた国際民間航空条約の附属書という形でまとめられています。

「国際民間航空条約」で軍用機は対象外? 韓国側の主張

 今回の海自P-1および韓国艦艇に関する件でなぜこの「国際民間航空条約」が注目されたかというと、防衛省がP-1の飛行高度に関して「国際法を遵守した高度だった」と説明し、その具体的な内容として国際民間航空条約の第2附属書第4章にある「地水面から150m(500フィート)未満の高さで有視界飛行を行ってはならない」という規定を持ち出したことに関して、韓国側が「国際民間航空条約は民間機を対象としたもので、軍用機は対象外」と主張したためです。そのうえで、韓国側は「P-1が『クァンゲト・デワン』に高度150m、距離500mまで接近した」として、これを「威嚇的な低空飛行」と非難しています。

 実際に条約文を見てみると、たしかに同条約第3条には「この条約は、民間航空機のみに適用するものとし、国の航空機には適用しない」とされ、これに続く条文で「国の航空機」には軍用機が含まれると明記されています。つまり韓国側の主張どおり、国の航空機にあたる自衛隊機も、この条約は適用されないことになります。

 しかし、実際にはそう単純な話ではないようです。

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