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海外に進出し、ソニーのような会社を作りたい

1/11(金) 12:05配信

ニュースソクラ

「わが経営」を語る 辻庸介マネーフォワード社長(4)

 ――辻さんは、シャープの2代目社長の故佐伯旭さんがお祖父さんで、3代目社長の辻晴雄さんは伯父さんだそうですね。こうした血縁は何か役に立ちましたか。(聞き手は経済ジャーナリスト、森一夫)

 私は祖父や伯父の話を外では一切してこなかったのです。そういうのは嫌なんです。変なプライドがありまして。

 いつだったか取材されて、書かないでくださいと言ったのですけどね。「ぜひ書きたい」と言うので、「だったらいいですよ」みたいになって、それからです。知られるようになったのは。

 ――ところで、創業して6年目の2018年夏にベトナムに子会社を設けましたね。

 開発拠点です。創業メンバーの1人の都築貴之取締役が代表者です。国内だけではエンジニアが足りないので、海外の優秀な方と一緒にやっていくことが必要になったのです。

 現地のエンジニアは今10人くらいですけど、19年には50人くらいにしたいと思っています。大学を卒業して当社で働くベトナムの方も増えています。

 みな優秀でハングリー精神も旺盛です。エンジニアリング能力では彼らの方が優れている点も多く、いい刺激にもなります。

 日本人もグローバルに闘わなければならない時代です。早めに外国の方たちと仕事をする環境を経験したほうがいいですよね。

 ――海外市場の開拓については、どう考えていますか。

 まず大きな市場の国内を、しっかりやらなければなりません。しかし将来は、ソニーのような会社をつくりたいので、海外で事業をやりたくて、いろいろ調査したり投資したりしているのですけど。

 今、私たちはインドネシアのクラウド会計とかクラウド給与の最大手企業の大株主で、私は社外取締役をしています。それからインドのPFM(個人の財務管理)サービスの会社にも投資しています。

 あの辺の市場はこれから伸びますし、日本より先に行っている面も多いので、すごく面白いですね。

 ――意欲はあるわけですね。

 やりたいですね。どうすれば、いいのですかね(笑)。ハードの分野では日本発で大きくなった会社はありますが、ソフトウエアは無いんです。今、メルカリさんやユーザベースさんが挑戦しています。

 やはり成功事例を私たちの代でつくらなければならないと思っています。日本は、ソニーやトヨタ自動車などの成功があって、今の繁栄があるわけです。

 私たちの世代で、そういう会社が何社か出てこないと、次の日本の繁栄は無いでしょう。だから国際的に事業を展開したいのです。

 ――いつ本格的に海外に出ますか。

 そこはまだ分からないんです。今は情報を集めながら、提携、出資、買収、自分たち単独でやるなど、いろいろな選択肢を考えているところです。

 ――辻さんが元いたソニーみたいな会社ができれば。

 楽しいですよね。ソニーのよさは、ワクワクする製品があって、人を幸せにして、生活を豊かにしてきた点ではないですか。

 私たちもソフトウエアを通して、世の中の役に立ちたい。例えば、個人のお金への不安を減らして、さらに中小企業の生産性を上げたいのです。

 クラウドサービスで面倒な事務作業を減らし、経営状況が容易に分かれば、経営効率がよくなります。引いては1人当たりの給与を引き上げられ、日本経済の底上げに貢献できるかなと思います。

 人手をかけずにテクノロジーで安いコストで、データに基づいて融資すれば、今まで金融サービスを受けられなかった人たちもお金を借りてビジネスを伸ばせるようになります。それがフィンテックで、そういうことでお役に立てたらいいなと考えているんです。

 ――マネーフォワードがやっている自動家計簿サービスや企業向けのクラウドサービスの利用がどんどん増えれば、大量の金融データが集まります。結果的にいろいろな金融サービスが可能になりますね。将来、巨大なプラットフォームになって、金融サービスも飲み込むのでは。

 いやあ、そんなことにはならないのではないですか(笑)。自分たちで全部できるとは思っていません。例えばクラウドファイナンスは、銀行さんと一緒にやらせてもらっています。それぞれ得意なところと組んで、お客様にいいサービスを提供するという形です。

 私がいつも言うのは「オープン・アンド・コネクト」です。私たちは情報をクローズドにしません。オープンにして、いろいろなサービスとコネクトする、つまり情報とサービスを囲い込まずにつなぐのです。

 そういう世界がインターネット的だしクラウド的です。クローズドの経済圏は古い考え方で、自社経済圏みたいのをつくるのは、私は好きじゃないですね。

 ――新しい概念ですね。

 サブスクリション、継続課金の方式も、お客様をだまして買ってもらったら駄目です。こんな機能が欲しいという要望にもきちんと応えていかなければ、継続してもらえません。

 お客様の信頼に応え続けなければならないというプレッシャーを常に意識する。それがサブスクリプションモデルの新しい考え方だと思います。会社とお客様との関わり方も変わってきた気がします。

 お客様がファンになっている会社があるでしょう。お客様はその会社の価値観が好きなのですね。ああいう会社は素敵です。

 マネーフォワードも価値観に共鳴してくださる方が多いので、そういう関係を大事にしたいと思っています。お客様と楽しくワクワク未来を一緒に作っていきたいですね。

(辻庸介氏のインタビューは今回で終わりです)

■聞き手 森 一夫(経済ジャーナリスト、元日経新聞論説副主幹)
1950年東京都生まれ。72年早稲田大学政経学部卒。日本経済新聞社入社、産業部、日経BP社日経ビジネス副編集長、編集委員兼論説委員、コロンビア大学東アジア研究所、日本経済経営研究所客員研究員、特別編集委員兼論説委員を歴任。著書に「日本の経営」(日経文庫)、「中村邦夫『幸之助神話』を壊した男」(日経ビジネス人文庫)など。

最終更新:1/11(金) 12:05
ニュースソクラ

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