ここから本文です

震災後の「親子でボタンつけ」授業に怒り  自分たちの体験を次に生かす大切さ〔陸前高田市長〕

1/11(金) 17:12配信

時事通信

 【注釈】

 「人は今考えていることが人生の全てになる」という言葉があります。つらいことと向き合う。それは必要なことですが、24時間そのことと向き合っていると、人生の全てが悲しみと嘆きで埋め尽くされます。つらい日々の中で、仕事や他者との関わりなど、別のことに心のベクトルを向けていると、その時間は他の世界が広がります。そうした時間をつくることは、心のケアで大事なポイントになります。学校に行き、勉強する、みんなと遊ぶ、体を動かすという時間は、悲しみや嘆き以外にも人生があると気付くことにつながります。

 ◇がくぜんとした参観日

 ――家に帰れば、また泣くかもしれないけれど、学校にいる間はそうでない時間がつくれるわけですよね。

 でも、一方で問題も感じました。保護者参観日があったんです。私は忙しくて、とても時間がないのですが、妻がいないので、私が行かなければ誰も行けない。それで、10分でもいいからと思い、出掛けました。そこで、がくぜんとしました。「親子でボタンつけ」という授業なんです。

 ――それはひどいですね。親を亡くした子どもがたくさんいるのに。

 私が行けたから、まだいいけど。親がいなくて、かわいそうな子どももたくさんいるし。びっくりして、怒りが湧きました。学校の組織としての整備はできているけれど、子どもに対して配慮がある教師、ない教師はそれぞれで、こういうことが起きるのだと思いましたね。

 ◇つらい気持ちに立ち入り禁止

 ――やはり、こうした災害の後、学校の授業で行う内容も一度、マニュアル化して、整備しておかないといけないですね。プログラムを医師や臨床心理士が一緒に作る必要があります。

 子どもたちは、しなやかだから、最初の出だしのところをうまく、きちんとすれば、落ち込まずに伸びていけると思うんです。でも、最初に失敗すると、後が大変になる。だから、最初のプログラムは慎重に、大事にしていきたい。最初につまずいて、そのままになったらというのが本当に心配です。

 ――本当にそう思います。子どもには災害後、なるべく身体を動かす機会を多くしてほしいです。子どもはボキャブラリーが少ないので、つらい気持ちや悲しい気持ちを言葉で表現しにくい。そんな時、身体を動かしたり、遊んだり、歌ったりというように、身体を多く使うことで、気持ちを表現できますから。

 私たちが当時、気を使ったのは、親を亡くしてつらい気持ちの子どもたちが、少しでもそのつらさや、悲しさから離れられる時間をつくろうということでした。

 ――つらい気持ちへの立ち入り禁止時間をつくっておくことは大事ですね。

2/3ページ

最終更新:1/11(金) 17:41
時事通信

あなたにおすすめの記事