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食のプロの“モンブラン観”を変えた名品の味を継承する「綾瀬モンブラン」とは?

1/11(金) 6:31配信

食べログマガジン

人気企画“食のプロの履歴書”シリーズ。春のショートケーキに続いて、今回フォーカスするのはモンブラン。選者は同じく、元『エル・ア・ターブル』編集部でフリーエディターの河合知子さんと、『料理通信』の君島佐和子さん。思い出と食ツウならではのエピソードとともに、ストーリーのあるモンブランをそれぞれお届けします。

〈モンブランの履歴書〉『料理通信』君島佐和子さん編【和栗モンブランの草分け的存在、「ア・ポワン」の和栗のモンブランとの、衝撃的な出合い】

食の専門誌の編集者になったばかりの頃(1996年頃でしょうか)に出合ったのが、西八王子にあったフランス菓子店「ア・ポワン」のモンブランでした。今やすっかりお馴染みになった和栗のモンブランの先駆けです。

フランス産のパート・ド・マロン(栗のペーストの缶詰)を使うパティスリーが多かった当時、日本の栗の味と香りが鼻腔を、そして脳天を直撃する「ア・ポワン」のモンブランは衝撃でした。

私のモンブラン史ではもちろん、日本のモンブラン界にとっても、「ア・ポワン」を語らずしてモンブランを語ることはできない、と思っています。

「ア・ポワン」のオーナーシェフの岡田吉之さんは、アルザス修業時代に日々モンブランを絞る中で、「そうだ、日本に帰ったら、和栗でモンブランを作ろう!」と思い付いたそうです。注文が入ってからシェフ自らマロンクリームを絞り出すモンブランは、箱を開けるなり栗の香りに包まれるほど、栗の風味が濃密でした。

秋になるとモンブランを買い求めるお客さんで大行列。寒空の中をお待たせするのが申し訳ないと岡田さんがストーブを置こうとしたら、「そんなこといいから、早くモンブランを絞って!」と怒られたというエピソードを懐かしく思い出します。

「ア・ポワン」は2012年に閉店してしまいましたが、お弟子さんのモンブランがやはり評判をとっています。その伝統を受け継ぐ一軒が、東京・綾瀬にある「アンプリル」。もう一軒が、神奈川県・金沢文庫にある「オ・プティ・マタン」。

師匠の教えを受け継いだ和栗、そして自慢のメレンゲを使ったモンブランは、とても優しく幸せな気持ちで満たしてくれる逸品です。

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