ここから本文です

初登場G球場で“孤独トレ” 丸は巨人で「我」を貫けるのか

1/12(土) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

「しゅっ!」「しゅっ!」

 広島からFA移籍した巨人・丸佳浩(29)が10日、川崎市のジャイアンツ球場に初登場。自主トレを公開した。

 室内練習場でキャッチボールを終えると、気温4度のいてつくような寒さの中、半袖姿でティーやマシン打撃を行った。冒頭のように声を出しながら計296スイング。午後はウエートトレーニングで初日を締めた。

 テレビカメラ6台が集結する中、3時間の自主トレを終え、「これだけのテレビカメラの前で練習するのはなかなかない。変な感じはした。動き始めなんで徐々に上げていければ。自分はもともと数を振って体に染み込ませるタイプ。ここからどんどんやっていけたら」と淡々と語った。

 この日は裏方数人がキャッチボールの相手などを務めたものの、1時間ほど打ち込んだ緩い球のマシン打撃は、室内練習場の片隅で1人で行った。

■麻雀断ち

 広島V3の「原動力」はどんな男なのか。性格は来る者は拒まず、去る者は追わず――。かつて、鈴木誠也ら若手が弟子入りしたことがある。ブレーク前の鈴木は2014年オフ、「丸さんは四球が多い。絶対にボール球を振らない。スゲーと思って見ていたから、弟子入りさせてもらえるように頼みました」と志願。その後のブレークにつなげた。丸については「引きずらないタイプで(気持ちの)切り替えが早い。うるさいところがあるけど、チームにそういう人は必要だから心強かった」と話していた。

 頼られれば応えるが、基本的には群れない性格だ。

 食事はあまりこだわらない。夜の繁華街にも興味がないらしい。それなら何が好きなのか。古巣広島のチーム関係者がこう明かす。

「以前はチーポン(麻雀)だった。勝負勘が良くてめっぽう強い。ただ、参加メンバーが『メシ食ってからやろう』と言うと、『出前のラーメンでいいよ』とピシャリ。ラーメンがのびていようが、『食べられればいい』。メシには無頓着なところがある。みんなが『うまいもんを食いにいこうよ』と言っても、『時間を有効に使おう』と譲らない。東京など遠征先の夜のネオン街にも興味を示さない。それより早く卓を囲みたいんです。三度の飯より好きだったんですから。でも、そんな趣味もキッパリやめちゃいましたけど」

 4年前のオフのことである。これも時間を有効に使い、40歳まで現役を続けるという目標のため。同じ理由で「いける口」(前出の関係者)だった酒も控えるようになったという。

「身長は177センチ。大柄ではないが、昨季39発の源はパワー。腕は太いし、胸板はぶ厚い。オフになると、金本(阪神前監督)が通って有名になった広島の『アスリート』に入り浸り、トレーニングをするのが日課。そのジムは遠くなったけど、今の趣味はもっぱら筋トレでしょう」(広島の別の関係者)

 5年総額25億5000万円、来季年俸は4億5000万円(金額は推定)の高給取りでも堅実派。オフはハワイやグアム、沖縄といった南国で自主トレを行う選手が多い中、広島時代はマツダスタジアム、巨人移籍後はジャイアンツ球場に「ほぼ毎日来るつもり」と言った。温暖な地で体をつくっても、キャンプ地の宮崎がこの時季寒いことは熟知している。暖かい所で体をつくれば故障の危険性が増す。だったら、最初から寒い所で練習をした方がいいという考えのようだ。

■小笠原と重なる打撃練習

 右手や左手一本のティー打撃や緩い球をセンターから逆方向へ打ち返す打撃練習は、06年オフに巨人へFA移籍した小笠原(現中日二軍監督)の決めたルーティンを黙々と続ける姿と重なる。

 小笠原は「フルスイング」が代名詞。しかし、巨人移籍1年目の自主トレや春季キャンプ中も、軽く三遊間にゴロやライナーを打ち、体ができてくると左翼、左中間へ流し打つ日本ハム時代からの練習を繰り返す。キャンプも終わろうかという頃になると、さすがに原監督もじれた。

「ガッツ(小笠原)はいつになったらフルスイングするんだ?」

 小笠原は新聞を通じ、指揮官の疑問を知ることになる。慌ててフルスイング解禁か、と思いきや、翌日以降も何一つルーティンを変えなかった。移籍1年目の07年は打率.313、31本塁打、88打点。主に「3番・三塁」で5年ぶりのリーグ優勝に貢献し、リーグをまたいで2年連続MVPに輝いた。MVPを引っ提げてのFA移籍、左打者、千葉県出身、体格……。この2人は足跡もソックリだ。

 丸はこの日、FA宣言後に巨人の長嶋茂雄終身名誉監督(82)から「一緒に野球ができたらうれしい」と書かれた手紙を受け取っていたことを明かした。ミスターのラブコールに「幼い頃からの夢だった巨人でプレーすることに気持ちが傾いた」と語った。これからも自分を貫き通し、原監督、いや、巨人ファンの救世主となるか。

あなたにおすすめの記事