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東海大監督は17kg減 走り過ぎは「マラソンED」を招く恐れ

1/12(土) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

「胴上げのために17キロ減量しました」

 箱根駅伝で東海大を初優勝に導いた両角速監督(52)は、“確信”があったのかもしれない。報道陣にそう語り、4カ月にわたって毎日12キロ走り、体重を69キロに絞り込んだエピソードを披露している。

 両角監督でなくても、ダイエットや健康維持で走っている人はいるだろう。笹川スポーツ財団の調査によると、1年に1回以上ジョギングやマラソンをする人は893万人。来月の京都マラソンや3月の東京マラソンを目標に走り込みを重ねているランナーもいるかもしれない。

 実は、走り過ぎはEDを招く恐れがあるのだ。昭和大藤が丘病院泌尿器科の佐々木春明教授に聞いた。

「適度な運動は男性ホルモンの分泌を促して、男性を男らしくし、性機能アップに役立ちます。ところが、運動のやり過ぎで疲労やストレスをためたりすると、かえって逆効果になり、男性ホルモンの分泌を悪化させ、EDを発症させることがあるのです」

 佐々木教授の外来には2カ月で15キロの減量に成功したものの、EDになった30代がいた。仕事帰りに毎日ジムに通い、ランニングや筋力トレーニングを繰り返して一気に体を絞ったそうだ。

 男性ホルモンはいくつかあるが、テストステロンが有名だろう。男性の場合、95%は睾丸で合成され、血中に分泌されると、最大90分で半減。肝臓で代謝され、尿とともに排出される。

「テストステロンは、疲労した筋肉や血管の修復にも使われるため、運動量が過剰だったり、負荷が強過ぎたりすると、消費が合成を上回ります。15キロ痩せた30代男性は、テストステロンの分泌量が正常値の10分の1にまで低下。テストステロンは性欲のほか精神面の安定にも作用するため、その低下によって、EDだけでなく、うつ状態も引き起こされていました」

■月間120キロ超走行でテストステロンが減少

 走る人の中には、痩せてムスコが元気になったという人がいる一方、ムスコがなえる人もいる。相反する状況が生まれるのは、走る量や負荷の強さが影響しているということだ。では、走行距離でいうと、どのあたりが分岐点なのか。

 よこすか女性泌尿器科・泌尿器科クリニックの奥井伸雄医師の調査によると、月間走行距離が100キロまではテストステロンの分泌が増えるが、120キロから減り始め、200キロを超えると、ガクンと落ちる。

 その程度なら、ムスコの元気に一役買うかもしれないが、「もっと自己ベストを短縮したい」などと走行距離を150キロ、200キロと延ばすにつれて、いつの間にかムスコはくたびれてやがて役立たずに。一般にフルマラソンの完走には、月間100キロが最低条件とされるから、“マラソンED”の市民ランナーは結構いるはずだ。

「テストステロンの合成に必要なのは、タンパク質です。走っている人は必ず肉や魚、大豆などを積極的に摂取するのが大切。何より運動は適切な強度で体を慣らしてから、少しずつ負荷を上げていくことです。適切なレベル? 60分体を動かして軽く汗ばむ程度。体を動かす習慣がない人が始めるなら、いきなり走るのではなく、ウオーキングから。走り慣れている人も、毎日はよくない。週に2、3回にとどめて十分な休養と栄養補給を心掛けることです」

 走り過ぎによってもたらされるテストステロンの分泌低下は、いわば男性更年期の状態。休養すれば低下したテストステロンは戻るというが、旺盛な運動習慣と症状がリンクしにくく、見過ごされやすいから厄介だ。

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