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河野外相、日露交渉で血筋生きるか 14日に外相会談

1/12(土) 19:48配信

産経新聞

 河野太郎外相は14日、モスクワでロシアのラブロフ外相と会談する。日露平和条約締結に向けた「交渉責任者」として初めての会談で、最大のテーマは締結の前提となる北方領土問題だ。21日にも行われる安倍晋三首相とプーチン大統領の首脳会談に向け、どこまで交渉を進展させられるかが焦点となる。

 会談では、北方四島の歴史的経緯や主権の所在、平和条約締結交渉の基礎となる1956(昭和31)年の日ソ共同宣言の解釈など、対立点で改めて双方の立場を主張し合うとみられる。両国で進めてきた極東地域での経済協力や、北方四島での共同経済活動も協議する見通しだ。

 安倍首相とプーチン氏は昨年11月の首脳会談で、平和条約締結交渉を加速させることで合意。翌月の首脳会談で河野、ラブロフ両氏を交渉責任者とする高官協議の新設を決めた。

 しかし、ラブロフ氏はその後も「『北方四島は第2次大戦の結果としてロシア領になった』と日本が認めない限り、平和条約締結に向けたいかなる協議も不可能だ」と発言するなど強硬な姿勢を崩しておらず、交渉は難航が予想される。

■河野氏の慎重姿勢、与党内にも疑心

 日露平和条約締結に向けた交渉責任者を務める河野氏は、63年前の日ソ国交回復に深く関わった河野一郎元農相を祖父に持つだけに、平和条約への思い入れは強い。しかし、前提となる北方領土交渉は双方が従来の立場を貫けば決裂しかねず、逆に大きく譲歩すれば国内世論の反発が避けられない難題だ。太郎氏は一郎氏から引く血筋を生かし、交渉にどう臨むのか。手腕が試される。

 「平和条約の締結に向けて交渉を加速化しようという話が(日露の)首脳同士で行われた。しっかりと交渉していく」

 太郎氏は会談日程が正式発表された4日、記者団にこう意気込んだ。

 太郎氏にとって平和条約締結交渉は、祖父の一郎氏から受け継ぐ宿題だ。一郎氏は1956(昭和31)年5月、日本の政治家として戦後初めてクレムリン(現ロシア大統領府)に入り、当時のブルガーニン首相と漁業交渉で渡り合った。

 同年10月に鳩山一郎首相(当時)と訪ソした際には、病身の鳩山氏に代わってブルガーニン氏やフルシチョフ共産党第1書記と議論を交わし、日ソ共同宣言の署名にこぎつけた。

 当時のいきさつは今のロシアでも知られており、太郎氏は「両国関係に努力した河野家の一族として一目置かれている」(日本外務省幹部)という。一郎氏も深く関与した日ソ共同宣言は、平和条約締結交渉の継続をうたっており、太郎氏が日露交渉に力を入れる理由はここにある。

 しかしこれとは裏腹に、最近の太郎氏は領土問題に関する発言を避ける傾向が目立つ。昨年12月の記者会見では「北方領土は日本の固有の領土か」と従来の立場を尋ねる質問にすら「答えを差し控える」と述べた。慎重な姿勢に終始するのは、これまで「ロシアによる不法占拠」といった日本の閣僚の発言にロシア側が強く反発し、交渉が頓挫した経緯があるためだ。

 ただし、北方四島は旧ソ連が日ソ中立条約を一方的に破って占拠したのが歴史の事実。弱腰にもみえる太郎氏には、与党内からも「妥協するのではないか」との疑心が生まれている。

 交渉相手となるラブロフ露外相は、強気の発言を繰り返している。国益を損なわずに、祖父からの宿題にどう答えを出すか。プーチン氏との首脳会談を控える安倍首相にうまくバトンをつなげなければ批判も浴びそうだ。(力武崇樹)

最終更新:1/12(土) 20:32
産経新聞

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