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体は女だけど、心は男――明るい”オニイタレント”が語る「自分らしく生きること」

1/12(土) 0:10配信

DANRO

体は女だけど、心は男。「男か女かどっちなの?」ってたまに聞かれることがあります。自分はそれを、人と違う個性だと思っていますーー。

【画像】東京のおひとりさまのリアルな室内

「女性の自由と孤独」をテーマに、女装する小説家・仙田学がさまざまな女性にインタビューする本連載。今回は、生まれ持った女性としての体のままで、男性として生きていくことを選んだ「オニイタレント」のハル(29)に話を聞いた。(仙田学)

「自分が何者なのか、わからなかった」

自分は人と違う、と感じるようになったのは、小学校6年生の頃だとハルは言う。

「初めて人を好きになったんですけど、その相手が女性だったんです。担任の先生で、すごい美人で人気者でした。自分は女性だけど、女性に興味がある、人と違うんだって気がついたのはその頃です。女友達が集まって『あの人かっこいい』とか噂していても、どう反応すればいいのかわからなくて、ひとりで悩んでました。『あんたはどうなの?』って聞かれると、冗談ぽく『男でも女でもどっちでもいけるよ』って濁したり」

当時はLGBTという言葉もまだ一般に知られておらず、ハルは自分がどうして人と違うのか、つまり自分が何者なのかがわからなかった。

「枠から外れるといじめられると思ってましたから、隠すしかなかったです。いじめられたくないから本当のことを言えない。いつも嘘をついていないといけない。それが苦しかったですね。他にも好きになった女性は何人かいましたけど、本当のことは言えませんでした。好きな気持ちは、自分のなかで終わらせてきました」

自分は人と違う、という違和感を抱えたまま、ハルは子どもの頃から憧れていた芸能界に足を踏み入れる。地元の沖縄を離れ、各地を転々とした後に、24歳からは東京で「男装タレント」として活動を始めた。だが違和感は消えなかった。

「カミングアウト」を受け入れてくれた母と友

26歳の頃、ハルは不意に思い立って大阪に引っ越した。直感的に「大阪で暮らしたい」と思ったのだという。

「母に打ち明けたのは、その頃です。これで最後になるかもしれないと覚悟しました。『お前なんていらない』って言われるかもしれない、と。でも母は、『いいと思うよ、そんなことであんたのこと嫌うわけない、自慢の子どもなんだから』って。親に認められたことで、変われた気がします。どんなことがあっても、親がいるから大丈夫だって」

「あなたは人と違う個性を持ってる。それを活かしなさい。一度きりの人生、どうせなら明るく生きなさい」。母親はそう言って、ハルを受け入れた。

「まわりの人たちにも同じ頃に打ち明けたんです。離れていく友達もいたし、『これからも友達でいるよ』って連絡をくれた人もいました。意外と受け入れてくれる人が多くてびっくりしました。逆に『なんでいままで隠してたの』って、怒ってくれる人もいたり」

母親とまわりの人たちに受け入れられたことが自信になり、ハルは「男装タレント」としてではなく、オネエタレントならぬ「オニイタレント」として芸能活動を続けていくことにする。

他にはいないキャラクターのタレントとして、興味を持たれることが増えた。ハル自身も自分らしいところを表に出せるので、以前のような違和感を抱かなくなった。ありのままの自分を受け入れてくれた家族や友人のためにも、自分らしく生きることを何よりも大切にしているハルは、性別適合手術をするつもりはない。

「体は女だけど、心は男。それが自分なんです。だから手術はする必要がない。いま手術すれば、男として見てほしいからすることになってしまう。人の目を気にして生きるなんて、つまらないじゃないですか。人にどう見られようが、これが自分の個性なんです。オニイタレントとして興味を持ってもらえたり、覚えてもらえたり、得してるなと思うときもあります」

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最終更新:1/12(土) 0:10
DANRO

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