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[特派員コラム]金正恩-李克強の破顔大笑

1/12(土) 8:43配信

ハンギョレ新聞

 昨年の3月26日、北京の人民大会堂では金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長の初の中国訪問を祝う歓迎行事が開かれた。招請がなく行って見ることはできなかったので、後日に中国と北朝鮮の放送報道を通じて概略の雰囲気を察するだけだった。

 北朝鮮の放送画面を見て、金委員長と李克強国務院首相が握手する場面が気になった。何かおもしろい話を交わしたのか、二人はもちろん後に立っている習近平主席夫妻までもが破顔大笑した。しばらく握手した後、李首相は李雪主(リ・ソルジュ)女史とも握手し、続けて習主席とも握手した。しかし習主席との握手の時は、手は握っても顔は金委員長夫妻の方を眺めて挨拶を続けた。習主席には手を放して略式の目礼だけした。

 この場面が気になったのは、当時北京で聞いていた李首相に関連する多くのうわさのためだ。何年か前から世間では、彼が権力から押し出されるとのうわさが絶えなかった。北京大学法学部出身の天才で、共産主義青年団の鬼才として常勝疾走を続け、ついに中央権力にのぼった彼が、名望家の子弟である習主席との競争および権力闘争で破れたといううわさだった。一昨年の第19回党大会を控えては健康不安説まで出回った。

 そのような李首相が、習主席夫妻を屏風のように立たせておいて、金委員長との親密な縁を誇示する姿は、中国の放送では絶対に出てこない場面だ。第19回党大会以後、中国共産党が作った「8項規定(反腐敗規定)実施細則」によれば、中国の放送ニュースは党総書記(習近平)を除くいかなる指導者の声も放送できない。総書記以外には関連ニュースの長さが2分を超えてもならない。記事の字数、取材記者数などにも制限がある。権力乱用とメディアのお世辞を防ぐための措置だが、結局すべての制限は総書記だけを引き立たせて見せることを注文する。しかし、この規定が適用されない北朝鮮の放送会社のカメラが現場にあったので、中国放送には出てこない李首相の比較的健在な姿が公開されたのだ。

 北朝鮮のおかげで垣間見ることになった李首相の地位を考えて、北朝鮮が備えている中国に対する理解の幅と情報の深さが実感された。金委員長の歓迎行事の時のように、多くの常務委員が一堂に集まった時、どんな様子なのかは外部からはわかりにくい。中国の権力構造は透明でない。しかし、70年間にわたり中国との間に悲喜と屈曲が積み重なった歴史を持つ北朝鮮は、現在だけでなく代々それがどんな風景であったかも知っているだろう。金正日(キム・ジョンイル)国防委員長の訪中時は、常務委員9人が全員参加する宴会もあったではないか。

 昨年3月、北朝鮮の放送が伝えた李首相のこうした姿は“中国ウォッチャー”らも特別な解釈をしないままやり過ごされた。金委員長の訪中直前、習主席の2期指導部が安定的に席を占め、それと共にこれ以上李首相の異常兆候が議論されないようだった。

 金委員長が今月8日、再び汽車で北京に来た。2日後に出てきた中国の放送ニュースは、依然として習主席を中心に扱った。この日の歓迎晩餐のニュースを伝える時は、習主席夫妻、金委員長夫妻がそれぞれ座っているテーブルと、両首脳が祝辞を述べる姿が出てきただけで、他の誰が参加したのかも見られなかった。北朝鮮メディアの報道を見て初めて両側の参席者が分かった。

 中国は隠したが、北朝鮮は公開できる場面が今後どれだけあるかは分からない。ただ、北朝鮮がこうした形で中国に対する私たちの理解を“助ける”ことは興味深い。いつか韓中間で北朝鮮が役割を受け持つ日も来るのではないだろうか。

キム・ウェヒョン北京特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:1/12(土) 8:43
ハンギョレ新聞

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