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「お好み焼き」千房、イスラム教徒向け豚肉使わず

1/14(月) 17:07配信

産経新聞

 昨年日本を訪れた訪日外国人は前年に比べて8・7%増の3119万人で過去最多。イスラム教徒が多いマレーシアやインドネシアからの訪日客も増えており、お好み焼き店を全国に展開する千房ホールディングス(大阪市浪速区)が今月、ムスリム(イスラム教徒)向けのお好み焼き店を開く。イスラム教の戒律に従った、豚肉を使わないお好み焼きを提供。訪日客の消費が関西経済の牽引(けんいん)役となる中、飲食店を中心にムスリム市場を取り込む動きが広まっている。(安田奈緒美)

 「ムスリムの皆さんにも、大阪のソウルフードのお好み焼きを楽しんでもらいたい」

 今月17日、訪日外国人の人気観光地となっている大阪・道頓堀にムスリム向け店舗を開く千房の中井貫二社長は話す。道頓堀川に面する自社ビル店舗の1フロアを改装し、席数約20席のムスリム向けにする。

 イスラム教徒の戒律に従い、豚肉を提供しない。豚肉の代わりに牛肉や海鮮、野菜を使ったお好み焼きや鍋料理をメニューに並べるほか、ソースなどの調味料もアルコールを含まないものを用意。調理器具も別のフロアと一緒にしないなど細心の配慮をする。また、食事時間と礼拝の時間が重なったときに備えて、祈祷(きとう)室も設け、接客のアルバイトにもムスリムの留学生3人を雇う。

 道頓堀の千房ビルの来客者は現在、8割ほどが訪日客になっているという。中国や韓国からの客が多いが、予約の電話で「豚肉抜きのお好み焼きはできますか」などの問い合わせも増えており、中井社長は「食のおもてなしも多様化しなければならない」と話す。

 東南アジアは経済成長が著しく、イスラム教徒の多いマレーシアやインドネシアからの訪日観光客が増えている。日本政府観光局によると、昨年1~11月にはマレーシアから40万700人(前年同期比6・9%増)、インドネシアからは34万2900人(同14・3%)が日本を訪れた。

 宗教上の理由で食材が制限されるムスリムの訪日客に対応する飲食店も増えている。うどん店などをチェーン展開するグルメ杵屋は関西国際空港にある店など全国7店舗で食材やキッチンをムスリム用にし、メニューを提供している。

 年間2万人以上のムスリムが訪れているという大阪市福島区の日本食レストラン「祭」では、SNS(会員制交流サイト)などの口コミで評判が広がり、訪日中に何度も足を運ぶ人も多い。オーナーの佐野嘉紀さんは、千房などムスリム向けメニューを提供しようとする飲食店にもアドバイスする。来日しても、食材への不安からホテルにインスタント食品を持ち込むムスリムも多く「店側が成分表示などを十分説明できるようにして、安心して食事を楽しんでほしい」と話す。

 東南アジアからの誘客に力を入れる大阪観光局も、ムスリムのための礼拝施設や飲食店、土産物を紹介した冊子を空港や宿泊施設に配布している。

 ムスリム向け情報サイトを運営するフードダイバーシティ(東京)の守護彰浩社長は「大阪にはムスリム向け飲食店が30店舗近くあり、この数年間で急増している。多様な食文化を理解して受け入れ環境を整えることが、訪日客誘致のうえでも急務」と指摘する。

最終更新:1/14(月) 18:49
産経新聞

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