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4年ぶり現役復帰の新谷仁美、型破りコメントの裏に見えるもの

1/15(火) 11:00配信

デイリースポーツ

 歯に衣(きぬ)着せぬとは、この人のことを言うのだろう。13日に京都市の西京極陸上競技場で行われた全国都道府県対抗女子駅伝で東京のメンバーとして6年ぶりに都大路を走ったロンドン五輪代表の新谷仁美(30)=ナイキTOKYOTC=が、9区(10キロ)で7人のごぼう抜きを見せ、区間賞と優秀選手賞を獲得した。

 昨年、4年ぶりに現役復帰。たった1年とは思えない破格の快走と同様に、ゴール後の取材でも新谷は型破りだった。復帰理由は「気分です」「100%お金。ビジネスですから」。レースの手応えを問われても「走るのって難しくないんですよ。技を披露するものでもない。前の人を抜けばいいんだからシンプルなスポーツ。答えが決まっているんです」と言い放つ。

 2014年に引退し、企業で事務職のOLとなった。「残業して帰りに飲みに行こうと誘われるような日々」と言い、運動は「ビキニを着たいから腹筋300回はやっていた」くらいで、陸上にはまったく関わらなかった。しかし、引退後も現所属先から一年ごとに契約のオファーがあり、「OLは向いてなかった。お金をためるなら手っ取り早いかなと自分からお願いした。世界のナイキですから!」と2017年にプロ契約。その後、故障を発症したため、本格的にジョギングから練習を再開したのは昨年1月だった。

 「努力が嫌い」というだけでなく「走ることも大嫌い」と新谷。それでも「走る以外は何もできないと外の世界で感じた。走ることは気にくわないけど気に入っている」と独特の言い回しで競技への思いを語る。慣れ親しんだ都大路の沿道から「お帰りと言っていただいた。言葉が力になった」と一瞬殊勝な笑顔を見せながら「私だから言っていただけるのかな」と自賛するのがこの人らしい。

 このタイミングでの復帰は2020年東京五輪を視野に入れているように見えるが、本人は「みなさんそう言ってくださるけど、今年の世界陸上も2020年もまったく考えてません。目の前のことの結果を出すだけ。気分屋だから、明日はやめてるかもしれませんよ」とニヤリと笑う。

 取材者の立場で言えば、一筋縄ではいかない相手だ。しかし、「ビジネス」「プロ」と言いきる姿に取材後は爽快感が残る。目標に向かって尽くした努力や、それによって得た達成感などは個人的なもの。プロとして決して口にはしないのだろう。次々と出てくる型破りなコメントは、実は「走る」ことに対する純粋さの裏返しのようにも思える。次戦は4月の兵庫リレーカーニバル。「気分屋」が、どこかで2020年にシフトチェンジする日を楽しみにしたい。(デイリースポーツ・船曳陽子)

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