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世代の違いを浮き彫りにする『チワワちゃん』のアプローチ

1/17(木) 17:05配信

dmenu映画

『ヘルタースケルター』(2012年)、『リバーズ・エッジ』(2018年)に続いて、伝説の漫画家、岡崎京子のコミックが映画化された。『チワワちゃん』(1月18日公開)。1994年に発表されたわずか34ページの短編漫画を、Instagramが人生を変える21世紀仕様に仕立て直し、原作のスピリットには忠実に、しかしきわめて現代的な青春映画として完成させたのは若干27歳の二宮健監督。

【写真】輪になって雑魚寝。『チワワちゃん』劇中写真

この作品には「最前線」の風が吹いている。そして、同時に平成の締めくくりにふさわしいモニュメンタルな趣がある。スピーディでありながら懐深い監督の手腕もさることながら、本作最大の見どころは、今が旬の20代俳優が集結していること。時代の転換期にふさわしい、その華麗にして深遠なキャスティングに注目してみたい。

あらかじめ傷を回避する若者たち

東京湾バラバラ殺人事件。判明した被害者の身元は、千脇良子、20歳、看護学生。だが、彼女をよく知る仲間たちはその本名を知らなかった。「チワワちゃん」というニックネームだけが独り歩きしていたからである。

映画は彼女の死後、仲良しグループの一人だったミキが「チワワはどんな娘だったのか?」をメンバー一人ひとりに訊いていくという構成。インスタでブレイクし、一躍人気モデルへと躍進を果たした「チワワちゃん」。その明るい笑顔の裏にあったものを、さまざまな角度から浮き彫りにする。

主人公のミキに門脇麦。チワワちゃんとラブラブだった恋人ヨシダに成田凌。ヨシダの親友カツオに寛 一 郎。チワワの親友ユミに玉城ティナ。チワワに片想いしているナガイに村上虹郎。そして、タイトルロールのチワワちゃんには新人、吉田志織。この6人がいずれも素晴らしい。

門脇と成田は昨年公開された『ここは退屈迎えに来て』や、今年5月公開予定の『さよならくちびる』でも距離の近い男女を演じている名コンビ。

ミキは短い間だけヨシダと付き合っていたことがあり、今も忘れられないでいる。それだけに、ヨシダを夢中にさせたチワワに羨望と妬みの入り混じった複雑な感情を抱いている。だが、それをおくびにも出さず、あえてサバサバとしたボーイッシュな態度で、ヨシダにも仲間にも接する。そんな割り切れない乙女心を体現させれば、いま、門脇の右に出る者はいないだろう。

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最終更新:1/17(木) 17:05
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