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“悲願の医学部”実現へ、早大総長の秘策

1/18(金) 8:00配信

ニュースイッチ

「医大と対等合併考える」

 収入における学費依存度が高い私立大学は教育重視が基本だが、2018年11月に就任した早稲田大学の田中愛治総長は「教育の早稲田は、研究の早稲田があってこそ」と強調する。文部科学省の新規事業では「オープンイノベーション機構」も「卓越大学院」も、私立大で唯一の採択でこのことを裏付ける。田中総長に「4年の在任中の実現可能性はあると思う」という単科医科大学との統合など聞いた。

―理工系は近年、国立の研究型大学と互角ですね。
「外部研究費の獲得は17年度時点で目標年120億円。00年代初頭の獲得額は20億円程度に過ぎなかった。エネルギー、ナノ材料など研究と教育の大型プロジェクトを継続できたことが大きい。研究の成果を教育に反映させる意識で理工はうまく回った。産学連携は、国の資金支援が手厚い国立大と戦うためにも強化する」

―科学研究費助成事業(科研費)では人文・社会科学の各分野も上位です。
「同分野の知の重要さをもっと社会発信してほしい、と他大学関係者からいわれる。今のリーダー層が教育を受けた70―80年代は、研究者の発言は本を読み考えてのもので役立たなかった。しかし今はエビデンス(根拠)や前例に基づいて議論をし、主張する実証研究とその教育が浸透している。その変化を知ってほしい」

―入試不正で揺れる単科医科大学は、吸収合併の対象では。
「悲願の案件だが、過去と違うのは医大との“対等”合併を考える点だ。もはや医学と科学技術が組むしかない時代だ。医工連携に限らず医事は法、医療行政は政治、病院経営なら経営と各学問の力が生きる。相手探しは、財政や偏差値にこだわらずに考えたい」

―早稲田実業高校跡地での新研究開発センターの建築工事が、大規模で目を引きます。
「産学連携の新拠点だが理工系の一部が移り、西早稲田キャンパス(東京都新宿区)に余裕ができる。また戸山キャンパス(同)に完成した『早稲田アリーナ』は次の卒業式から活用する。財務の経常収支差額で年50億円の確保を目標とし、数年に一度で建物新設など大規模な教育研究環境の整備ができている。建築学の専門家を担当にキャンパスの中長期プランを練っていく」

【略歴】
たなか・あいじ 75年(昭50)早大政経卒、85年米オハイオ州立大院政治学研究科博士課程修了。86年道都大(現星槎道都大)社会福祉学部専任講師、89年東洋英和女学院大人文学部助教授、96年青山学院大法学部教授。98年早大政治経済学部教授。10年理事。18年総長。東京都出身、67歳。

<記者の目>

 就任会見では米国流の押しの強さを、取材では教務(教育の事務)経験の長さを思わせる柔和さを、それぞれ感じた。受けた教育や所属した大学も多彩だ。「挑戦するたくましい知性と、多様性を理解する感性」といった言葉が説得力を帯びる。このことは大規模大学の運営にどのような力をもたらすのだろうか。
(日刊工業新聞・山本佳世子)

最終更新:1/18(金) 23:17
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