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しりあがり寿の新作「ヒーローって何?」、兵庫県立美術館で

1/20(日) 8:00配信

Lmaga.jp

「兵庫県立美術館」(神戸市中央区)で開催中の『Oh!マツリ☆ゴト 昭和・平成のヒーロー&ピーポー』展。時代をヒーローとピーポー(ピープルの造語)から振りかえる同展では、現在活躍中の4作家(会田誠、石川竜一、しりあがり寿、柳瀬安里)が新作を披露し、話題となっている。

【写真】会田誠の『MONUMENT FOR NOTHING Ⅴ~にほんのまつり~』は、ねぶたの技法で作られた超大作

しりあがり寿は『ヒーローの皮』と『地蔵マンZ』を出品。前者は関西のご当地ヒーローたちのユニフォームを吊るしたインスタレーションで、まるで洗濯風景。薄っぺらいユニフォームの内側に生身の人間がいることを思わせ、「ヒーローも普段は服を脱いでいるの? コスチュームを洗濯をするの?  だったらヒーローって何? と考えていただければ」とコメント。後者はアニメ作品で、主人公のやる気のなさが際立っている。どちらもヒーローの相対化を意図したものだ。

会田誠の『MONUMENT FOR NOTHING Ⅴ~にほんのまつり~』は、ねぶたの技法で作られた超大作。痩せこけた旧陸軍二等兵が国会議事堂(墓石)に指をかけており、無名の人々と権力の関係、過去と現在の歴史を思い起こさせる。超大作なのに中身がスカスカというのもアイロニーが効いている。会田誠は「この作品を作るにあたって『日本軍兵士:アジア・太平洋戦争の現実』(著者:吉田裕)という書籍を参考にしました。日本軍の犠牲者は戦死よりも餓死の方が多かったそうです。だからこの作品の兵士はがりがりに痩せているのです」と説明した。

写真家の石川竜一は、壁面を旧作(作家の地元沖縄や全国各地で撮影した肖像写真)で覆い、室内中央の独立した小部屋に初の映像作品『MITSUGU』を出品。彼が出会ったミステリアスな人物を取材した怪作。尺は約45分、毎時15分に上映。

柳瀬安里はさまざまな場所に赴き、地面に線を引く(境界線を明示する)パフォーマンスを撮影した映像作品(旧作)と、実家のお寺で撮影した写真作品『土の下』を展示。モチーフは祖父や墓地に植えたひまわりの群生など。「生と死」を強烈に意識させる。

これだけの面々が美術館の企画のために新作を作り、そろって披露するのは極めてまれなこと。展覧会はもちろん、4人の新作を見るだけでも本展は価値ありと言えるだろう。期間は3月17日まで、料金は一般1300円。

取材・文・写真/小吹隆文(美術ライター)

最終更新:1/20(日) 11:23
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