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厚労省の不正調査、日銀からはGDP統計に疑義 日本の統計は信頼できるのか?

1/29(火) 11:40配信

THE PAGE

 厚生労働省がとりまとめている統計で不正調査が発覚し、大きな問題となっています。具体的にはどのような操作が行われていたのでしょうか。

 厚生労働省は、賃金や労働時間などに関する統計である「毎月勤労統計調査」を取りまとめています。この統計は賃金動向を示す基礎的な統計と位置付けられており、調査結果はGDP(国内総生産)の算出にも用いられるなど、極めて重要度が高いものです。

 問題が発覚したのは賃金に関する調査項目です。同統計のルールでは、従業員500人以上の事業所については、サンプル調査ではなく全数調査が義務付けられています。ところがどういうわけか、東京都の事業所については2004年から全数調査ではなく、サンプル調査に切り替わっていました。

 統計学的にはサンプル調査であっても精度的に問題はありませんが、サンプル調査の場合には、全数調査と辻褄が合うよう数値を補正する必要があります(簡単に言ってしまえば、サンプル数が全数の3分の1だった場合には、総額を計算する場合には3倍しなければなりません)。ところが厚労省ではこの作業を行っておらず、東京都の数字は本来のものより低く算出されていました。

 このミスが発覚した段階で正しい処置が行われていれば、過去に遡ってすべて修正をすることになりますが、厚労省はなぜか2018年以降のみを修正し、それ以前は放置してしまいました。そうなってしまうと、2018年1月以降については賃金が急上昇したように見えてしまいます。多くの人が賃上げを実感していないにもかかわらず、最近、賃金が上がっているという話になっていたことにはこうした事情が関係していた可能性があるわけです。

 全数調査をサンプル調査に勝手に変えること自体がルール違反ですし、厚労省はこれをすべて公表せず、一部だけを修正し、データの連続性もなくしてしまいました。多くのメディアでは「不適切調査」などと表記していますが、これはかなり深刻な問題であり、不適切などというレベルで処理できる話ではありません。

 実は政府の統計に関しては、もっとも重要な指標であるGDPについても、その正確性について疑問視する声が上がっています。日銀は政府によるGDP統計に疑義があるとして、生データの提供を要請しましたが、政府は一部しかこれに応じていません。

 統計は近代国家の土台であり、統計の信頼性は国際社会における国家の地位や発言力に直結します。統計が信頼できない国家は、国際社会ではまともな国とは見なされません。この問題をどう処理できるのかによって、日本の将来は大きく変わる可能性があるでしょう。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:1/29(火) 13:15
THE PAGE

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