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「これでダメなら、国民はさらに国外に脱出する」”2人の大統領”で緊迫するベネズエラ情勢、次の日曜日がヤマ場か

2/1(金) 13:30配信

AbemaTIMES

 南米ベネズエラで、同時に2人の“大統領“が出現するという事態が発生している。

 今月23日、最高裁判所を支配下に置くなど、独裁を続けるマドゥロ現大統領の退陣を求め、野党の指導者でもあるグアイド国会議長が「大統領として国家行政の権限を引き受けけることを正式に宣言する」と、“暫定大統領“就任を宣言。これをアメリカをはじめ、10か国が承認した。

 対するマドゥロ大統領はトランプ大統領よ、ベネズエラに干渉するな。今すぐ手を引け」と牽制、「アメリカの全ての外交官たちに72時間以内にベネズエラを退去してもらう」と叫び、国交断絶を宣言した。しかしアメリカのポンペオ国務長官は「マドゥロ大統領に国交を断絶する権限はない」とこれを拒否。対立が深まっている。

 そんな反米路線を取るマドゥロ大統領の背景に見え隠れするのが、大国ロシアと中国の影だ。ロシアは昨年12月、ベネズエラに核兵器搭載可能な爆撃機を派遣したとも報じられており、ベネズエラを足掛かりにアメリカを揺さぶる狙いがあると見られている。また、昨年マドゥロ大統領は北京を訪問し、習主席と会談。中国は深刻な経済危機が続く同国への経済支援に乗り出している。

 かつては報道の自由や、民主的な政治体制から「中南米の民主主義の優等生」とも呼ばれていたベネズエラで何が起きているのか。専門家に話を聞いた。

■チャベス→マドゥロ路線の恩恵を受けてきたキューバの思惑

 北はカリブ海、大西洋に面し、南はブラジルと国境を接するベネズエラ。面積は日本の約2.4倍で、人口は約3102万人。公用語はスペイン語だ。“天空の秘境“と言われる「ギアナ高地」など、雄大な自然が広がり、平原地帯では日本でも大人気のカピパラが生息する。埋蔵量世界一を誇る豊富な石油資源が人々の暮らしが支えられており、“美人産業“も盛んで、ミス・インターナショナルで優勝8回、ミス・ユニバースでも優勝7回を誇っている。日本人にも馴染み深いのが野球だ。ラミレス、ペタジーニ、カブレラなどのプロ野球選手を輩出してきた。

 ジェトロ・アジア経済研究所の坂口安紀氏は「ラテンアメリカのほとんどの国が軍事政権だった80年代にも民主主義を守り、国政も安定していたのがベネズエラだった。石油産出国なので国民の生活もそれなりに良かったが、対外債務危機を迎え、パイの取り合いが始まった。そして二大政党制が安定すぎていたために、特に左派勢力の声を代弁する人がいなかった。これがチャベス前大統領への支持に繋がっていった」と話す。

野球を愛し、野球のために首都カラカスの士官学校に進んだというチャベス前大統領は、のちに軍事クーデターを主導し失敗、収監されたこともあるという人物だ。しかし世論の支持を受け、1999年には大統領に就任すると“21世紀の社会主義“建設を標榜し反米路線に舵を切り、石油開発企業などの国有化や社会福祉事業の乱発し財政を悪化させた。

 「動物的な政治の勘がある人で、ブッシュ元大統領を“悪魔“呼ばわりしたことでも有名だ。役者でカリスマ性があり、大統領就任時は支持率が8~9割に達するなど、国民の期待も高かった。しかしとてもワンマンなところがあり、2年くらい経つと支持率も下がり、クーデターまで起きた。さらに石油価格が上がった貧困層向けアパートを全国に作ったり、中国から安く買った白物家電を配ったりという、ものすごいバラ撒きをした。そのアパートには“プレゼントだ“と、自分の似顔絵やサインがあったということなので、人間的にはすごく面白い」。

そんなチャベス大統領は2012年、後継者にバスの運転手という経歴を持ち、外務大臣を務めていたマドゥロ大統領を指名し、翌年に逝去する。

「他に何人もの候補がいた中、なぜマドゥロを指名したのか。そこにはキューバのアドバイスがあった。ソ連崩壊後、経済が悪化していたキューバを支えたのが、チャベス前大統領が送った石油だった。これが途切れると困るキューバとしては、チャベス前大統領の路線を忠実に守ってくれるのはマドゥロだと考え、後押しした。マドゥロは10代のころキューバで思想教育を受けており、キューバに対する思い入れもあるし、社会主義に対する彼なりの理解と彼なりの気持ちがある。キューバとしてもコントロールしやすい人物だった」。

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最終更新:2/1(金) 13:30
AbemaTIMES

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