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中国の覇権主義、アジア諸国の反発さらに強まる

2/3(日) 15:48配信

ニュースイッチ

防衛省が分析、インドとの対立先鋭化か

 防衛省の防衛研究所は「中国安全保障レポート2019」をまとめた。「アジアの秩序をめぐる戦略とその波紋」がテーマ。経済力と軍事力を背景に「一帯一路構想」を掲げてアジア諸国を従わせようとする戦略は、必ずしもうまく行っていないと分析。結果的に南アジア覇権国であるインドの警戒感が強まり、対立が長期化する可能性を指摘した。

 防衛研究所は、わが国の平和と安全に大きな影響を与える中国の軍事動向や外交戦略を11年から毎年、分析調査し「中国安全保障レポート」にまとめている。

 今回は、中国の掲げる「特色ある大国外交」の狙いが、同国が中心となり発展途上国の発言力を高めることを通じてアジアのみならず、世界秩序の改編を目指すことにあると喝破。ただ、これに対し米国はもとより、経済援助を受けた途上国の側でも「債務のわな」への警戒心と反発心が強まり、南シナ海などの強引な海洋進出と相まって必ずしも順調に進んでいないと指摘している。

 一方で鉄道や港湾設備などのインフラ整備援助により、東南アジア諸国連合(ASEAN)へ政治的影響力が拡大しているのも事実で、南シナ海問題で中国に批判的だったフィリピンが容認姿勢に転じたのをはじめ、ブルネイも批判消極派になったと分析している。

 海洋進出でも一帯一路構想を掲げる中国は、ASEANと並び南アジアや太平洋島しょ国への働きかけ活動も強めている。フィジーなどは経済制裁を受けていたこともあって中国の援助を歓迎し、関係が強まっていると指摘。同様に国交のないマーシャル諸島やパラオに対しても、貿易や中国人旅行客を通じて経済的関与を強めているとした。

 南アジアではスリランカのバントタ港やパキスタンのグワダル港開発を中国主導で推し進め、両国に相次ぎ、潜水艦を寄港させている。

 これらの動きにインドや豪州、ニュージーランド、フランスなどは警戒感を強めており、インドは中国が提案していたソナディア港建設計画撤退とともに、モーリシャスやスリランカ、ネパールなどで巻き返し外交を進めている。中国は18年4月の中印首脳会談で譲歩を見せたものの、南アジア諸国への関与をめぐる両国の競争は今後も続くと予測した。

 「航行の安全と自由」に賛同するわが国は米国と並び、豪州やフランス、インド、ベトナムなどとの関係を強化している。中国は13年11月、尖閣諸島の上空を含む「東シナ海防空識別区」を一方的に宣言し、同年には海上自衛隊の護衛艦に対する火器管制レーダー照射事件も起きた。

 今回のリポートは北朝鮮や韓国をはじめとする極東アジアには触れていないが、安全保障のため、警戒感を強める国々と共同歩調をとっていくことが大切なのは間違いない。

日刊工業新聞・嶋田歩

最終更新:2/3(日) 15:48
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