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<北朝鮮>謎のスポーツ強国の内幕(5) 観客興奮して暴動寸前に 05年のサッカー対イラン戦

2/6(水) 10:20配信 有料

アジアプレス・ネットワーク

◆イラン戦に月給の数倍のプレミア・チケット

2015年8月、東アジアカップ大会で優勝した北朝鮮女子サッカーチームの選手たち (「わが民族同士より」引用)

試合では負けたものの、2005年3月30日の対イラン戦は北朝鮮のスポーツ史の中でも特別なイベントだったと言える。

まず、平壌市民の関心が驚くほど高かった。当局から動員された人もいたが、入場券を買って見に来た市民も多数にのぼり、収容能力7~8万人のスタジアムが通路の階段まで観客で埋め尽くされた。

3000~5000ウォンで売られていた入場券は早々に入手困難になり、一等席は1万~1万5000ウォンもする「プレミア・チケット」となった。当時の一般労働者の月給が一1500~2000ウォン程度、市場で売られている豚肉が一キロ当たり5000ウォンだったことを考えると、たいへんな高額と言えた。

スタジアムの外には、色々な食べ物の屋台が立っていた。驚いたのは、新聞販売所で試合に関する広告紙(チラシのような体裁の情報誌=整理者注)を売っていたことだ。

両チームの選手紹介や、試合の関連情報が掲載されており、値段は一部500ウォン。市民の興味に応えるメディアなどゼロに等しかった北朝鮮において、そのような気のきいた広告紙が売られていたことに、不思議な思いがした。

後に知ったことだが、その広告紙は試合に対する市民の関心の高まりを受け、中央機関の指示で体育新聞社が作成・販売していたという。

※整理者注 
サッカーの高額チケットが国民の間で売買され、試合情報を載せた広告紙が売られるなど、市場経済の色合いを帯びた現象が見られた背景には、2002年7月1日から実施された「経済管理改善措置」と呼ばれる改革措置の影響があったと思われる。この措置により、それまで非合法だったジャンマダンが自由市場として公営化され、国民の個人事業が一部認められた。人々は商売を通じて私有財産を形成し、限定的ながら市場経済を経験することになった。 本文:1,825文字 写真:1枚

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