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村上龍「69」のモデルたちは今【シリーズ・あの名作その時代】

2/6(水) 11:00配信 有料

西日本新聞

1968年、エンタープライズ入港阻止を訴え、全国から集った学生たちが警察官らと衝突した佐世保市の平瀬橋。今もわずかながらレールが残るが、当時の面影はない。

 一九七〇年夏、大阪。日本万国博覧会を訪れた中村聡は、敗北感にさいなまれながらも、不思議な安らぎを感じていた。国民総生産(GNP)で自由主義圏第二位に立った敗戦国が、「人類の進歩と調和」をテーマに開催した世紀の祭典。近未来の意匠をまとったパビリオンに並ぶ人々の顔は、誇りと喜びに輝いていた。

 「ぼくらの戦いは終わったんだ、とはっきり分かったんです」。五十三歳になった中村は述懐する。「そう、戦いです。龍さんなら『祭り』というでしょうがね」。郷里、長崎県佐世保市でイベント企画などを手掛ける中村は、照れたようにほほ笑んだ。

 小説「69」は六九年の佐世保を舞台にした、痛快な「闘争と祭り」の物語だ。

 高校三年のケンは相棒のアダマ、後輩のマスガキらと、夜の高校に侵入。屋上への出入り口を机やいすでバリケード封鎖(バリ封)し、校舎のあちこちにペンキで書き殴った。「国体粉砕」「造反有理」「同志よ、武器を取れ」。屋上からはためく垂れ幕には「想像力が権力を奪う」。校長の机にうんこまで垂れた。バリ封後、自宅謹慎をくらう。解かれた後はさっそく、ロックと自主制作映画のフェスティバルへ―。

 エピソードはほぼ実話に基づき、登場人物にはモデルがいる。ケンはもちろん村上龍。中村はマスガキで、後日談的につづれば、 本文:2,285文字 写真:1枚

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西日本新聞

最終更新:2/6(水) 11:00
西日本新聞