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孫氏が語るビジョンとファンド、純粋な投資会社になったソフトバンクグループ決算

2/6(水) 20:29配信

Impress Watch

 ソフトバンクグループは、2018年度第3四半期の決算を発表した。決算説明会にはソフトバンクグループ 代表取締役会長 兼 社長の孫正義氏が登壇した。

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 通信事業を担当するソフトバンク株式会社が2018年12月に上場したことなどを受けて、ソフトバンクグループは純粋な持株会社、投資会社に移行している。孫氏は決算内容をみていく中で、好調な業績の要因として、大きく伸びたのは「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」(以下ビジョンファンド)の業績であるとし、出資したエヌビディアの株価が大きく下がっても増益を確保している理由や、ビジョンファンドに出資する同社やパートナー企業が儲けを確保する、出資構成や配当など内側の仕組みを初めて解説した。

 孫氏は、通信事業のソフトバンクが上場し、決算会見なども独自に開催していることから、今後ソフトバンクグループは純粋な持株会社、投資会社として事業の説明を行っていくとした。

□孫氏が考える「株主価値」

 そうした環境の変化から、「株主価値」が唯一の評価軸になるとした上で、企業価値から負債を差し引いたのが株主価値であるとする。

 負債については、ソフトバンクグループの連結の有利子負債は合計17兆円で、現預金の保有が6兆円、独立採算の子会社各社(ソフトバンクやスプリントなど)の負債は連帯保証ではなく代理弁済もしないことから、これら7兆円の負債をさらに除外、「17-6-7=4」という計算で、4兆円(より正確には3.6兆円)がソフトバンクグループの負債と定義した。

 一方、ソフトバンクグループが保有するアリババやarmなどの株式の価値は25兆円で、ここから負債の4兆円を引いた21兆円が株主価値であるとする。

 しかし現在のソフトバンクグループの株価を時価総額にすると9兆円で、市場の評価と大きく隔たりがある。時価総額は本来21兆円相当だというのが孫氏の主張で、こうしたことから、ソフトバンクのIPOで得た2兆円から6000億円を上限に自社株買いを今後1年の間に実施し、一株あたりの価値を今より高めていく方針を明らかにした。

□ビジョンファンドによるAI群戦略

 純粋な投資会社になったことで、今後の投資のビジョンについても改めて語られた。孫氏は、その投資スタンスとして、キャッシュフローの見通しや、コンピュータによるアルゴリズムではなく、“ビジョン”で投資する新たな形態の投資スタイルと位置づける。

 AIによる「すべての産業を再定義する」という状況が迫っているとする現在、AI関連のナンバー1企業に投資しグループシナジーを作り出していく「AI群戦略」を語り、例えば15~20年後にはニューヨークの五番街をAI自動運転車ばかりが走っている未来を示し、「間違いなくそうなると断言できる。信じている。そういうビジョンを持っている。それ(ビジョン)をもって、私達は投資をする」と語る。

 またそのビジョンには理由や理屈もあるとする。コンピューティングの3つの要素であるCPU、メモリ容量、通信速度は過去100万倍になったというが、今後30年でさらにそれぞれが100万倍に拡大するとし、結果としてAIの処理性能も100万倍になって、人類の脳を超え、「AIは人類史上最大の革命になる。たいへん大きなパラダイムシフトが起きる」と予測する。

 一方、「個人(孫氏自身)で使えるお金は十分ある」とした上で、そうしたビジョンは「情報革命で人々を幸せに」という個人的な考えに帰結するとし、シンプルなビジョンに基づくシンプルな戦略であるとした。

□質疑応答

 質疑応答の時間には、米中の摩擦に端を発するファーウェイ排除の問題が聞かれた。孫氏は「貿易摩擦、政治的摩擦は、長い目でみるとよくない。両方に得なことはあまりない」と一般論で牽制する一方、コミュニケーションを深めれば「時間の問題で、いずれは収まってくる。日米でも過去には貿易摩擦はあった。急速に伸びている時は摩擦を生む」などとした。なお、仮にファーウェイ製の設備を置き換えるという場合は、「おそらく50億円程度になるのではないか。彼らはそういう決定はしていないが、(ソフトバンク株式会社の)大きな負担になるとは、まったく考えていない」としている。

 ビジョンファンドについて、サウジアラビアが追加出資に前向きという問いには、「温かい支援をいただいているが、どこからどのような条件で資金を集めるのかは、まだ時期尚早」として、今後しかるべきに時期に検討する内容であるとしている。

 AI群戦略で、ニューヨークのAi自動運転に触れられたことから、現在、自動運転技術を開発している企業にどう対抗していくのかが聞かれたが、孫氏は少し違う視点で、「自動運転の自動車を(高額でも)真っ先に買うのは誰か。それは業務用。まずは事業用で、タクシーやライドシェアの会社が真っ先に活用する」とする。その上で、現在のライドシェア利用客の90%は、同社が出資する企業であることを指摘、「自動運転の自動車、それを一番買う会社・使う会社に、成功の可能性がある」としている。

ケータイ Watch,太田 亮三

最終更新:2/7(木) 11:37
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