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医師だけでは改革できない 上手にかかっていのちと医療を守ろう

2/6(水) 7:02配信

BuzzFeed Japan

医師の時間外勤務時間の上限を1900~2000時間を設ける案が出され、「過労死ラインの2倍」の基準が批判を浴びている厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」。

副座長の渋谷健司・東京大学大学院国際保健政策学教室教授に真意を聞くこのインタビューも最終回。渋谷さんは医療者側の抵抗があることと共に、医師の働き方改革には患者側の協力も必要なことを訴えました。
【BuzzFeed Japan Medical / 岩永直子】

医師の働き方改革は国民的な課題

ーー医師の働き方改革の話題ですが、SNSを見ていても、医師や医療関係者は熱心に議論していますが、一般の人はあまり関心がなさそうですし、そもそもどんな議論が行われているかもあまり知られていないようです。

そこが一番問題だと思っています。まず、医療がこのままではもたないという危機感が一般の国民に広がっていないんです。ですからとりまとめ骨子の中で、上手な医療のかかり方についても入れてもらいました。国民的な課題であると打ち出せたのは良かったのですが、それをもっと広めていかないといけません。

ーー時間外労働時間の規制ばかりがクローズアップされていますが、それだけでは医師の労働改革はできないのですね。

2000時間が反発を招いたのは当然としても、時間だけが一人歩きしてしまっています。時間外規制だけをしたら、医師が足りなくなるのは当たり前です。

ですから、医師の働き方改革は、医師不足の地域がある偏在の問題の是正、病院機能の集約、医師の業務を他の医療職に移したり分かち合ったりするタスクシフト・タスクシェア、上手な医療のかかり方はセットで取り組んでいかなければなりません。

ーー医師の労働時間を制限しながら当直が必須の産科や救急などを回していくには、地域の病院をまとめて基幹病院に集約化することが必須です。しかし、集約化するにしても、近所の病院がなくなるかもしれないわけですから、国民の理解とかかり方の変化がないと成り立ちません。

絶対にできません。国民から見たら、近所の病院がなくなるのは困ると考えるのは当たり前です。しかし、多くの病院が乱立して、結果として医師の過重労働や医療の生産性を下げているのは、国民にとっても損なことです。すでに医療は危機的な状況なのです。

そして、どこか一つの方程式を一つ解いたところで、別のどこかにしわ寄せが行くのは当たり前です。医師の時間外労働の規制だけをやれば、人が足りなくなるのは決まっています。それをどう組み合わせて、変えていくかです。

難しいパズルですが、それを一括で変えるチャンスです。医療崩壊前の最後のチャンスかもしれません。今までだって、何もしていなかったわけではないでしょう。「地域医療構想」と言って取り組んでいたはずなのに、病院機能の集約は進んでいません。既得権益・現状維持の力学で、重点化や集約化なんて進むはずがなかったわけです。

逆に言うと、この時間外規制が大きなドライバーになって、集約化やタスクシフトなど今までできなかったことが一気に進むのではないかと期待しています。

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最終更新:2/6(水) 7:02
BuzzFeed Japan

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