ここから本文です

「保育園に入れなくて、仕方なく」。やむなく幼稚園に通わせる「隠れ待機児童」の親たちの悲痛な声

2/6(水) 15:20配信

ハフポスト日本版

「保育園がだめなら幼稚園に行けばいいじゃない」ではない。

認可保育園の入園可否の通知が届き始め、SNSでは今年も 「#保育園落ちた」「 #保育園に入りたい」のハッシュタグがじわじわと広がっている。解消されない待機児童問題の中で、誤解を元に親たちにぶつけられる言葉がある。それは「幼稚園に入ればいいのでは?」というものだ。

幼稚園と保育園ーー。似たような施設だと思う人もいるかもしれない。しかし、実際その内容には、大きな違いがある。大雑把にいえば、幼稚園は教育施設。保育園は、働く親のために子供を預かる施設だ。

幼稚園は、専業主婦やフルタイム勤務ではない家庭の利用を想定している。そのため基本的に午後2~3時までと、終了が早い。夕方までの「預かり保育」を実施する園も多いが、参加者が少なかったり、統一したカリキュラムがなかったりと、保育園のそれとは内容が大きく違う。

そして、子どもを幼稚園へ通わせる親には、2種類の理由がある。純粋に子どもを通わせたかった親と、保育園に落ちたので仕方なく通わせている「隠れ待機児童」の親だ。

「保育園に落ちたから仕方なく」の選択は、さまざまな無理を家庭に生む。しかし、幼稚園に通っていることで「待機児童」にもカウントされず、その問題は、非常に見えづらい。

不本意ながら子供を幼稚園に通わせることになった、3つの家庭の話を聞いた。

保育園とは違う、幼稚園の「預かり保育」に新たな苦悩

東京都西部の区に住む中山麻衣子さん(仮名)は「子どものためを思って幼稚園を選んだはずなのに、何が正解だったのか分からない」と、肩を落とす。

中山さんは約4年前、長男・晃くん(仮名)の妊娠中に、体調を崩して仕事を辞めた。生後8カ月から週3回の一時預かり保育を利用して、別の会社に再就職。しかし、認可園のすべてに落ちて、二度目の退職を余儀なくされた。

ところが、3月下旬になって急に、区からの連絡。小規模保育所にキャンセルが出たため、今なら入れるというのだ。

小規模保育所とは、待機児童を解消するために2015年から始まった制度。小さなスペースで開設できるなどのメリットがある一方、対象年齢は0~2歳に限定され、2歳のクラスを終えたら卒園しなければならない。しかし、仕事を続けたかった中山さんは、キャンセル枠によって、再就職を果たすことができた。

「当時、2歳クラスを卒園した後はどうすればいいのかと区に相談したら『認定こども園を増やすから、その頃には何とかなると思います』と言われたんです。それから3年経つけれど、こども園は当時からひとつも増えていません。いざ卒園というときには、幼稚園を強く勧められて......区の人でさえ、保育園やこども園がだめなら幼稚園に行けばいい、と思っているように感じました」

認可保育所の3歳児枠は、1歳よりもさらに激戦だ。入れる保証はない。自分が多少無理をしても、教育に良い場所へ行かせてやりたいとも思い、迷ったすえに幼稚園に決めた。

「保育園には入れなかったので、仕方なく。でも、通わせている幼稚園では9割くらいのおうちが専業主婦で、午後2時に幼稚園が終わった後、みんな子どもに習い事をさせているんですよね。うちは預かり保育の制度を使って、毎日夕方まで幼稚園で見てもらっているから、もちろんそんな時間はありません。他の子と同等にいろんなことをさせてやりたい、というプレッシャーも芽生えてきて......」と、中山さんは苦しそうに話す。

教育重視で幼稚園に入れたはずなのに、預かり保育の時間はテレビを見せていたり、ジャンクフードのお菓子を与えたりしている園の対応にも、納得がいかない。だったら粘って保育園を探したほうが、息子も夕方までのんびり楽しめるうえ、自分も楽だったのではないか。帰りの園バスから、疲れ切って寝ている子どもを抱いて帰るたび、悲しくなる。

「いまは子どもへの罪悪感と、慌ただしい毎日が辛くて、幼稚園のメリットも感じられていません。説明会のときは預かり保育について熱心に聞いていたママも、入園してから仕事を辞めていました。やっぱり、うちのような幼稚園に通わせながら働くのには、無理があると思う」

1/4ページ

あなたにおすすめの記事