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最速123キロ女子中学生・島野愛友利 夢は「もう1度、男子と戦いたい」

2/6(水) 16:57配信

Full-Count

ジャイアンツカップで優勝投手となった島野愛友利「誰もが成し遂げていない数字を残さないと」

 女子野球界の将来を背負うかもしれない一人の少女が寒風が舞うグラウンドでトレーニングを続けている。中学硬式野球の頂点を決める昨夏のジャイアンツカップで優勝投手となった島野愛友利(あゆり)。ボーイズリーグ「大淀ボーイズ」で女子選手として初の背番号「1」を背負った右腕は高校進学の決意、そして将来図を語ってくれた。

【動画】投球フォームの貴重なスロー映像も 最速123キロを誇る女子中学生・島野愛友利投手のトレーニング風景

 昨年、最速123キロを投げ男子が中心の中学硬式野球界で世間から注目を浴びたのはここで語る必要もないだろう。卒団後も河川敷のグラウンドで練習を続ける島野が語る言葉の節々からは中学生とは思えない思考を感じ取れた。

「これまでたくさんの取材などを受けてきましたが、それは中学硬式で女性の投手がマウンドに立ったからだと思っています。これが女子だけの世界(女子高校野球など)になった時にどうなるのかな? もっと女子野球が世間に認知されるにはどうしたらいいのか? 誰もが成し遂げていない数字、成績を残さないと関心は持ってくれない。そのために何をしたらいいのかを考えています」

 甲子園にも出場した長男・凌多さん、現在は履正社でプレーする次男・圭太さんの姿を見て自然と野球への道を進んだ。「大淀ボーイズ」に入団してからは男子レベルの高さを痛感。中学1年の時には自慢の直球は打ち返され、「負けられない」とスピードを求めたが中学2年の時に考えが変わったという。

「絶対にパワーで勝負したら勝てない。どうしたら勝てるかを考えた時にレッドソックスで世界一に輝いた上原さんの動画を見ました。メジャーの選手に比べスピードは劣っていましたが、それでも抑える。『これだ』と。投手はコントロール、間違わないところに投げれば打たれない。そこを追求しました」

小林将起監督は島野の野球への思いに目を細める「実力で背番号1を奪った」

 ランニングメニューでは一切弱音を吐くことなく、黙々と厳しい練習についっていた。指導する小林将起監督も「男子はすぐに嫌な顔するが、愛友利は一切なかった。ウチは相当厳しい練習をしてるが全てついていきましたから。実力で背番号1を奪った」と目を細める。進学先は昨年、日本一に輝いた神戸弘陵高女子硬式野球部が決まっている。

「女子の世界では普通の成績を残しても取り上げてもらえない。勝つことは勿論ですがノーヒットノーラン、完全試合……。スピードだけにはこだわるつもりはないですが130キロは超えないといけない。最年少で日本代表のフルメンバーに選ばれることとか。あとは負けることが好きじゃないので負けないことですね」

 自らの成長、そして女子野球界の未来を考え1日、1日を無駄にすることはない。島野のスケジュールは今もびっしりと埋め尽くされている。土、日はチーム練習、平日は「痛い箇所によっていく病院、整骨院を決めている」と、その日の体の状態を見極め患部のケアに努める。友達と遊ぶ時間は平日の数日だけ、それでも今の生活には満足しているという。そして最大の目標は再び男子と勝負することだ。

「高校が終わった先のことを色々と考えます。大学、女子プロ野球など高校で結果を残せば選択肢は増えると思いますが……。もう一度、男子の中で戦ってみたい気持ちもあります。神宮のマウンドにも立ってみたい」

 過去には明大のジョディ・ハーラー投手が史上初めて女子投手と六大学野球の公式戦マウンドに上がり、2001年には明大・小林千紘投手と、東大・竹本恵投手が投げ合いを見せ話題を集めた。ドラフト候補が揃う大学野球の聖地で真っ向勝負を夢見る。

 女子プロ野球も視野に入れる島野の思いは一つだけ。「女子野球を広めたい。もっと競技人口が増えてほしいし、女子野球を始める選手たちに目指してもらえるような選手、成績を残したい」。無限の可能性を秘めた女子右腕の今後に大注目だ。

橋本健吾 / Kengo Hashimoto

最終更新:2/6(水) 18:51
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