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警官が射殺事件「公の信託に背いた」 地裁判決で指摘

2/8(金) 22:54配信

朝日新聞デジタル

 滋賀県彦根市の彦根署河瀬駅前交番で昨年4月、井本光(あきら)巡査部長(当時41)=警部に2階級特進=を拳銃で撃って殺害したとして殺人と銃刀法違反の罪に問われた部下の元巡査(20)=当時19歳=に対する裁判員裁判の判決が8日、大津地裁であった。伊藤寛樹裁判長は「現職の警察官が拳銃で殺害に及んだ空前の、絶後となるべき重大な事案」として懲役22年(求刑懲役25年)を言い渡した。

【写真】亡くなった井本光さんの妻、美絵さんが座る検察側の席に向かって頭を下げる元巡査=2019年2月8日、大津地裁、絵・岩崎絵里

 判決によると、元巡査は井本さんから書類の訂正などの指導や注意を受けることが続き、反感を募らせていた。昨年4月11日、厳しく叱責(しっせき)され、できの悪さは親のせいかなどと言われて反感と憤りを一気に強め、井本さんの殺害を決意。同日午後7時47分ごろ、交番で井本さんの後頭部と背中を拳銃で2発撃って殺害。同日午後8時半ごろまで、実弾3発が入った拳銃を持ったまま逃走した。

 判決は争点となった元巡査の責任能力について検討。現場の様子が撮られた防犯カメラの映像などを踏まえ、井本さんの背後から拳銃を的確に用いて殺害している▽事件後に交番から逃走する際に施錠をしたり、訪問者に整然と対応したりしている――などと指摘。「行動を統制する能力などが著しく減退していた疑いはない」として、心神耗弱状態だったとする弁護側の主張を退けた。

 その上で、「公の信託を受けて例外的に拳銃の携帯を許されている警察官が信託に背いた」と指摘。「警察官の本分を思い起こし、凶行を思いとどまるべきだった。非難の程度は強いものとならざるを得ない」などと量刑の理由を述べた。

 一方で、警察に対しては「未熟な警察官が拳銃を携帯していることを踏まえると、組織の指導、養成のあり方が検討されるべきだった」とも言及した。伊藤裁判長は判決読み上げ後、元巡査に「国民が警察官に信託を寄せているのは、このような悲惨な事態を招くためではない。責任の重大さを認識し、被害者の分まで生きるつもりで償い、社会への還元を果たすよう求めます」と語った。(石川友恵)

朝日新聞社

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