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1週間の熟練者作業を1日に。「AI工場」の威力

2/8(金) 11:55配信

日刊工業新聞電子版

三菱電と産総研、人工知能でFA機器効率化

 三菱電機と産業技術総合研究所は工場自動化(FA)機器や加工機の調整などを効率化する人工知能(AI)技術を開発した。熟練者に頼っていた作業を1週間から1日に短縮するなど、現場の人手不足に対応する。三菱電機のAI技術ブランド「マイサート」として提供していく。

 三菱電機の制御技術と産総研のAI技術を組み合わせ、三つの用途にシステムを開発した。一つ目はほぼすべての産業機械に共通するサーボ機構の自動調整技術。位置決め精度や速度に関わる720個の調整項目をベイズ最適化というAI技術を用いて1日で調整した。従来は熟練技術者が18項目を1週間かけて最適化していた。

 調整項目が40倍に増え装置ごとのきめ細かな制御が可能になる。一方で膨大な試行錯誤が必要になる。そこでサーボ機構の制御技術の知見をもとに調整範囲を絞り込んだ。さらにベイズ最適化でより少ない試行数で最適条件にたどり着いた。

 レーザー板金では画像識別AIで切断された加工面を解析した。傷や変色などから酸化膜剥離や荒れなどの品質を熟練者レベルで自動判定できるようになった。担当者が装置の加工条件を修正する標準手順も作成。熟練者に依存しない装置運用が可能になる。

 産業用ロボットではシステム構築時の異常識別にAI技術を応用した。従来はロボットハンドのつかみ損ねや異物混入、部品の欠損など、起こりうる異常を事前に列挙して対応するプログラムを用意していた。

 そこで異常事態を再現しロボットの力覚センサーでデータを集めてAIに学習させた。異常識別のプログラムは不要で、データさえあれば作業中に何が起きたか判別できる。異常対応の開発期間を3分の1に削減した。

 AI技術を製造装置や現場で使うには計算能力やデータ量、コストなどの制約がある。複雑過ぎる問題は解けないため、機械制御や金属加工の知見で問題を絞り込み、熟練者依存や人手不足などに対応させた。

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