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【Plastic Tree リコメンド】実験的な音遊びとプラらしさが同居する裏ベスト的なカップリング曲集

2/8(金) 10:02配信

OKMusic

2008年以降に発表した全シングルのカップリング曲を網羅したB面集『続 B面画報』。カップリング曲とはいえライヴでの人気曲も多数収録されており、彼らの音楽性の高さと音作りへの飽くなき探究心を再認識させられる好盤だ。

Plastic Tree インタビューのその他の写真

 2007年にリリースされた『B面画報』はデビューから2007年までに発表されたシングルのカップリング曲15曲を収録したアルバムだったが、今作『続B面画報』はその第二弾となる作品で、2008年~2018年に発表されたシングルのカップリング曲21曲を収録。メジャーデビュー十五周年“樹念”イヤーである2012年に発表されたシングルにカップリングされていたセルフカバー曲とリミックス音源は除かれているので、楽曲のダブりはなし。純粋に2008年以降にカップリング曲として発表された楽曲を楽しめる構成になっている。

 昔からシングルのB面は“一番遊べる”と言われるポジション。シングルのタイトル曲のようにキャッチーさを狙わなくてもいいし、アルバムにも収録されないことが多いのでアルバムのカラーやコンセプトに合わせる必要もない。アーティストからすると、楽曲的にもサウンド的にもフットワーク軽くチャレンジできる実験室のような場所とも言える。それはPlastic Treeの場合も然りで、今作を聴いてまず感じるのは彼らのミュージシャンスピリット的な部分。ヴォーカルにボコーダーを大胆に掛け、声を歌というより音素材のひとつとしてサウンドの感触重視で扱っている曲もあれば、ピアノと弦アレンジを取り入れた曲など、ライヴでの再現より作品としての仕上がり感を追求したものが目立つ。特に楽器隊3人がパッション全開でハードに突っ込んでいくヒリヒリするようなインスト「回想、声はなく。」や、疾走するループにドーパミンだだ漏れのエレクトロ「バミューダトライアングル」などは、カップリングで出す以外なかなか発表する場がないだろうなというマニアックなナンバーで、これらをちゃんとアルバムとしてまとめてもらえただけでもありがたい。

 もちろん実験的な楽曲ばかりではなく、風通しのいいギターロック「Dolly」や、切なやさしいコード進行とスケール感のあるメロディーが秀逸な「Paper plane」、目の前で4人が演奏している姿が浮かぶようなUKロック「バンビ」や「creep」、アルバム『doorAdore』にも収録されライヴでも重要な楽曲であった「静かの海」、シューゲイザー的な音作りと高揚感がたまらなくカッコ良い「サイケデリズム」など、文句なしの名曲も数多く収録されていて、これは絶対に埋もれさせてはいけない!と気持ちを新たにさせられた。

 しかし、考えてみれば、Plastic Treeは2017年に行なった年末公演『ゆくプラくるプラ~海月リクエストの夕べ・シングルカップリング編』で、海月(ファンの呼称)から募ったリクエストで構成されたカップリング曲縛りのライヴも行なっており、メンバー&海月ともにカップリング曲を大事にしてきた。ファンにとってはまさに待望のアルバムだと言えよう。

 また、初回限定盤には1995年12月11日の新宿LOFTでの初ワンマンライヴにて配布されたデモテープ「Poison Biscuit」のB面である「変化(another side)」が収録されている。これはインディーズ時代のアルバム『Strange fruits -奇妙な果実-』にも収録された楽曲で、のちにリアレンジされ「アブストラクト マイ ライフ」としてメジャー2ndシングル「本当の嘘」にも収録された、いわば究極のカップリング曲。荒削りな演奏と音でPlastic Treeの当時の姿をリアルにパッケージしたレア音源で、バンドの原点を強烈に印象付けるパンキッシュなナンバーだ。さらに、初回限定盤に付くDVDには「灯火」のMVに加え、70分を越えるメンバー座談会映像『プラっと語リー酒』を収録。メンバーが呑みながら『続 B面画報』収録楽曲の制作秘話を濃密に語るというファン必見の内容となっている。

 そして、本作リリース後には『Plastic Tree Spring Tour 2019「A面B面画報」』と題された全国ツアーが控えている。タイトル通りシングルA面とB面の曲を中心に構成されるもので、そんな選曲のライヴを聴ける機会は今後もなかなかないはず。大いに観る価値のあるライヴになりそうだ。

文:舟見佳子

OKMusic編集部

最終更新:2/8(金) 10:02
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