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「カカオの涙」に思いを…産地の児童労働や貧困 パティシエらが支援の輪

2/9(土) 12:59配信

毎日新聞

 2月14日のバレンタインデーを前に、チョコレートの需要が高まっている。そんな中、原料となるカカオ豆の生産地が抱える貧困や児童労働などの問題を知ってもらおうと、パティシエや非政府組織(NGO)が声を上げている。

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 「一粒のチョコにカカオ産地の努力がたくさん詰まっていることを想像しながら味わってほしい」。名古屋市の洋菓子店「カフェタナカ」のパティシエ、田中千尋さんはそんな思いから、店頭ではカカオ豆の特徴や産地の現状を説明するようにしている。

 カカオ豆の多くは西アフリカや南米など赤道付近の、インフラも整わない発展途上国で生産されている。農家の大半は貧困に苦しみ、児童労働や後継者不足、病害など産地が抱える問題は多い。

 一方、日本のチョコ消費は増加の一途をたどっている。2017年度の国内消費量は27万4067トンと20年間で約7万トン増加。今や世界有数の消費大国だ。近年は新興国でも消費が増す中、カカオ豆の取引価格は低水準のままで、農家は貧困から抜け出せずにいる。

 田中さんは08年から、フランスのチョコ会社とともにエクアドルやマダガスカルの農家に足を運んでいる。チョコを見たことも食べたこともないという農家が多い中、企業が農家と連携し、生産技術や加工方法の伝授を始めると、生産量や品質が年々向上。農家の生産意欲も10年間で格段に上がったという。

 「問題解決には消費者の声が大きなカギとなる」。日本に輸入されるカカオ豆の7割を生産するガーナで児童労働撲滅に取り組むNGO「ACE(エース)」(東京都)の白木朋子事務局長はそう指摘する。

 カカオ豆生産に携わる子供はガーナだけで92万人いるとされ、ACEは子供を働かせている農家を説得して意識改革を促したり、学用品を支給したりして、09年以降500人超の子供たちを労働から解放し、就学させてきた。そうした児童労働のない産地で作られたカカオ豆の積極利用に大手菓子メーカー森永製菓などが賛同。売り上げの一部を寄付に充てるなど支援は広がるが、海外に比べると日本企業の動きはまだ鈍い。

 カカオ豆産地が抱える問題は貧困だけではない。米海洋大気局は、地球温暖化で50年までに世界中のカカオが絶滅する恐れがあると指摘している。

 白木さんは「食べる人を幸せな気分にするチョコだが、カカオ生産地ではこんな悲しいことが起きている。消費者はフェアトレード(公正貿易)商品を選ぶなどできることから始めてほしい」と呼びかけている。【斎川瞳】 

最終更新:2/9(土) 19:55
毎日新聞

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