ここから本文です

【Bizクリニック】薬機法の規制対象外で有効な出口戦略

2/10(日) 10:32配信

SankeiBiz

 医療機器ビジネスは、狭義には「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)が定める「医療機器を取り扱うビジネス」と定義される。自社ブランドで販売する場合、薬機法の規制下で事業を行う必要があり、違反すれば罰則が生じる。ただ、必ずしも規制対象の業態を取ることが最適な選択とは限らない。産学連携で製品をリリースする際の2つの出口戦略を紹介しよう。(Kompath 代表取締役CEO 高橋遼平)

 1つ目は、マーケティングに強い医療機器メーカーとの提携だ。薬機法上、最も制約が厳しいのは自社ブランドとして医療機器を販売する業態であり、「医療機器製造販売業」許可を取得する必要がある。一方、製造販売業を持つ企業から委託を受けて製品を製造する「医療機器製造業」許可であれば簡易な手続きで取得できる。また、医療機器自体の製造ではなく、機器に組み込まれる部品やシステム的なモジュール開発なら薬機法の規制対象にはならない。医療機器メーカーと提携し、製品や機能開発に特化することで事業参入のスピードを加速できる。

 2つ目は、研究目的の理化学機器として販売することだ。医療機器は薬機法上「疾病の診断、治療もしくは予防に使用されること、または身体の構造もしくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等」と定義され、医療分野の研究に用いる機器は医療機器とは定義されていない。医師は診療行為のほか、研究機関に所属し医学研究に従事するケースも多く、研究機器として販売を始めることは有望な参入形態の一つであると考える。

 研究用途として製品の販売を始めることは大きく3つのメリットがある。 第1に多くの医師から製品に対するフィードバックを受けられるので、医療機器として販売を始める前にユーザーテストを実施できる。その感触によっては、再度必要な機能を開発し、より洗練された医療機器として販売を目指すなど方向転換ができる。

 第2に医療機器製造販売業者としての体制構築に向けたキャッシュを獲得できることだ。医療機器を販売するためには多額の費用が生じる。キャッシュを先んじて獲得することは事業戦略上、重要なプロセスだ。

 第3に、研究用途としての販売は医療機器販売に向けたプレセールとしても活用できる。製品が良いものであれば、医師は研究だけでなく診療行為にも活用したいと考え、強い支援者となる。医療機器として販売を始める際にはスムーズな購買が見込めるうえ、他の医師への紹介につながりやすく、ブランド構築に直結する。

 新規医療機器ビジネス開発には規制上、多くの障壁が存在するため、専門家と協議しながらリーガルリスクをコントロールしてほしい。

                   ◇

【プロフィル】高橋遼平

 たかはし・りょうへい 京大経卒。東工大環境・社会理工学院修了。工学博士。2012年三菱商事入社。15年10月医療系ITスタートアップのKompathを設立し、共同創業者兼代表取締役CEO。大学付属病院と共同で医用画像処理アプリケーション開発に取り組む。30歳。東京都出身。

最終更新:2/10(日) 10:32
SankeiBiz

あなたにおすすめの記事