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世界一重い桜島大根 火山の恵みの伝統野菜 出荷最盛期 鹿児島

2/11(月) 10:01配信

毎日新聞

 「世界一重い大根」として知られる桜島大根。重さ31・1キロ、胴回り119センチのギネス記録(2003年)も持っている。桜島(鹿児島市)の噴火で降り注いだ軽石交じりの水はけよい土壌と温暖な気候が育み、200年以上の歴史を持つ伝統野菜だ。出荷最盛期を迎えた産地を訪ねた。

 「煮ると絹ごし豆腐のように、口の中で溶けてなくなるよう。ほかの大根とは違うよ」

 錦江湾と霧島連山を望む鹿児島市桜島白浜町の大根畑。生産者の一人で「ファームランド櫻島(さくらじま)」代表の村山利清さん(72)が目を細めた。きめが細かく食感はなめらか、柔らかいのに煮崩れしないのが桜島大根の特徴だ。

 種まきは8~9月。1~2月に収穫する。栽培期間は半年と、通常の大根の約2倍。1メートル幅に作られた畝に大きく葉を広げて並ぶ姿は圧巻だ。贈答用として販売されるものの重さは葉も入れると10キロ以上になる。村山さんは「一本の大根を育てるのに必要な畑の面積や期間を考えると効率は悪いかもしれないが、他にはない火山の恵み」と話す。

 桜島大根のはっきりとした起源は不明だが、鹿児島市によると旧薩摩藩の記録にも登場し、200年以上の歴史を持つ。地元では「しまでこん」と親しまれ、かつては1200戸以上の農家が栽培していたという。桜島の大正噴火(1914年)で栽培面積を減らしたが、今も約30戸の農家が伝統をつなぐ。

 生産された大根の多くは漬物用として出荷されるが、島内では大根料理も堪能できる。畑近くで村山さん一家が運営する「カフェしらはま」では、2月末まで桜島大根づくしのランチ(1200円)を提供する。大根ステーキ、皮を使ったきんぴら、自家製みそを使った大根みそ汁など、どれも体に優しい味わいだ。

 「味のしみこみも早くて料理しやすい。グラタンやキッシュに入れたり、ポタージュスープにしたりと大根料理といってもたくさん種類がありますよ」とカフェで働く次女の押川さおりさん(43)。葉やピンクの小さな花も食べられ「捨てるところがないんです」と説明する。

 生の大根は、島内の道の駅「桜島」火の島めぐみ館でも購入可能だ。大きさによって値段は異なり、1本1000~2000円。切った後にラップをして冷蔵庫に入れれば10日~2週間ほどは持つといい、一度煮てから保存しておくのもいい。今の時期しか味わえない桜島大根で、火山と歴史に思いをはせたい。【菅野蘭】

<メモ> カフェしらはま(鹿児島市桜島白浜町、099・293・2887)のランチ営業は水曜~日曜の午前11時半~午後2時ごろ。有機栽培の野菜を手作りの調味料を使って提供する。売り切れの場合や収穫時期によって早めに閉店することもあるため、事前に問い合わせが必要。

最終更新:2/11(月) 12:47
毎日新聞

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