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トランプ氏の一般教書演説 環球時報(中国)「政治的妥協ほとんど『遊離』」

2/11(月) 12:49配信

産経新聞

 トランプ米大統領は5日(日本時間6日)、国の現状や向こう1年間の内政・外交の政策全般について上下両院に説明する恒例の一般教書演説を行った。トランプ氏は融和や団結を盛んに呼びかけ、日頃は政権に批判的な米メディアにも好意的論調が散見された。一方、中国紙はその「団結」こそが米国で「最も欠けた政治資源だ」と皮肉り、露紙はトランプ氏が唱えた新たな核兵器管理条約構想に強い疑念を投げかけた。

 □ブルームバーグ(米国)

 ■まずまず満足できるもの

 トランプ米大統領は一般教書演説の冒頭で「2つの党ではなく、1つの国として」と述べ、党派対立を超越した融和を呼びかけた。6日付の米ブルームバーグ通信(電子版)は「団結を訴え、まずまず満足できるもの。大統領らしい雰囲気も備えていた」と好意的に受け止めた。

 野党・民主党からも賛成の多い犯罪司法改革を共和党との協調の好例として挙げたことを評価したうえで、「薬価の引き下げやインフラ投資など多くの重要な課題で両党が割れ、それらの課題を台無しにすることになってはならない」と、トランプ氏の主張を後押しした。

 また、トランプ氏が合法移民への支持を演説で語り、メキシコとの「国境の壁」を当初よりも小規模にしようとしていると指摘。「この2点を踏まえれば、妥協は可能だ」と述べ、民主党に歩み寄りを促した。

 米紙ワシントン・ポスト(電子版)に寄稿された、政治コラムニストのエド・ロジャース氏による評論も「印象の強い演説で、民主党の抵抗は勢いを失った。トランプ氏は勝利したが、政界では過小評価されている」と高評価を与えた。

 ロジャース氏は就任後2年間の経済成長について「なぜもっと掘り下げ、誇らないのか」とし、国論を二分する人工妊娠中絶の問題でトランプ氏が妊娠後期の人工中絶禁止の法制化を議会に求めたことにも触れて「議論を明快にしたのは功績だ」と評した。

 一方、7日付の同紙は「妥協は語ったが、善意は感じられない」と見出しを掲げた評論も掲載した。「演説者を信じるには、善意が聴く者に伝わらねばならない。トランプ氏は妥協を語ったが、彼の性格と演説の感情的な趣旨は、それを裏付けているだろうか?」と疑問を投げかけ、「トランプ氏の言葉は変わりやすい。基本的な流儀は誇張で、彼の言葉を真剣に受け止める理由はない」と厳しい見方を示した。(ワシントン 住井亨介)

 □環球時報(中国)

 ■政治的妥協ほとんど「遊離」

 中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報(電子版)は6日、トランプ米大統領の一般教書演説に関して「米国に最も欠けているのは団結だ」と題した社説を掲載した。社説は、トランプ氏による演説の主題は「偉大さへの選択」と「団結」だったと分析し、同氏が演説を通じて共和・民主両党の妥協と協力を勝ち取り「米国を再び偉大にしようとする青写真を実現しようとしている」と論じた。

 一方で社説は「過去1年を振り返ると、ホワイトハウスの主要な政治議題はほぼ全て議会で頑強な抵抗にあった」と指摘。トランプ氏が演説で、米国は世界で最も強大な経済と軍隊を持ち、石油と天然ガスの最大の生産国だと自賛したことに触れた上で「今日の米国の政界に最も欠けている政治資源は『団結』だ」と皮肉った。具体的にはメキシコ国境への壁の建設が進まず、一部政府機関の閉鎖が続いたことや、主流メディアもほぼトランプ氏に反対の立場を取っている現状を挙げた。

 社説はさらに、トランプ氏は「団結」の前途が楽観できないという現実に直面していると言及。米国は依然として深い分裂の中にあり、二大政党体制で最も重要な要素である「政治的妥協」はほとんど“遊離”しており、次期大統領選が近づく中でさらに激烈な政治闘争がワシントンの主旋律になると予測した。

 また社説は、トランプ氏が演説で言及した中国との貿易協議に関しても楽観的な見通しを封印した。同氏が改めて貿易不均衡の是正や構造改革の実現を中国に求めたことについて、共和党と民主党の対中政策をめぐる立場は違うとしつつも、「他の政治議題と比べると差異は小さい」と指摘。こうした両党の共通性が、米政権による対中「押さえ込み政策」につながっているとし、米中双方が対抗する場面は今後さまざまな分野でさらに出現すると予測した。(北京 西見由章)

 □イズベスチヤ(ロシア)

 ■そぶりだけの「核管理条約」

 トランプ米大統領は一般教書演説の中で、米国がロシアに破棄を通告した中距離核戦力(INF)全廃条約に代えて、中国などを加えた新たな核兵器管理体制を模索する意向に言及した。しかし露メディアは、こうした米国側の構想を「具体性や現実性に乏しく、(努力する)そぶりを示しただけだ」などと懐疑的な論調で伝えた。

 7日付の露有力紙イズベスチヤは、トランプ氏が新たな核兵器管理条約の構想を述べたことを紹介。ただし「ボルトン米大統領補佐官がいかなる軍備管理条約にも反対していることを考えれば、トランプ氏が新条約構想を真剣に語っていたかは疑わしい。演説で『新たな条約は不可能かもしれない』と述べたことも、トランプ氏にとって新たな条約が本質的な問題でないことを示している」とする米シンクタンク「大西洋評議会」の専門家の分析を伝えた。

 国営ロシア通信も6日、「自国の安全保障に直結する敏感なテーマである以上、中国が新たな条約に参加する可能性は低いだろう」とする専門家の見方を伝えた。

 演説を受け、ペスコフ大統領報道官は「新たな条約構想は米国から受け取っていない」と明かしたほか、ラブロフ外相が「INF条約失効に伴って新たな兵器を開発するとのロシアの戦略に不足はない」と述べるなど、露政府高官からも新条約実現の可能性に否定的な発言が相次いでいる。

 イズベスチヤは、INF条約の破棄に伴うミサイル防衛(MD)システムの強化などを念頭に、トランプ氏が防衛予算を前年の7千億ドル(約77兆円)から2019会計年度は7160億ドルに増額したとアピールしたことを伝えた。しかし、これについても「米国のMDシステムが本当に完璧であれば、核開発に関して北朝鮮とこれほど頻繁に対話はしないはずだ。演説は多分に形式的なものだった」とする露シンクタンク「戦略調査研究所」の専門家の見方を報じた。(モスクワ 小野田雄一)

最終更新:2/11(月) 12:49
産経新聞

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