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ドイツ「戦車王国」の黄昏 稼働するのは全盛期のわずか3%、どうしてそうなった?

2/11(月) 6:02配信

乗りものニュース

想像以上かも? ドイツ戦車の現状

 ドイツ陸軍「レオパルト2」戦車の稼働数、68両――これは2017年12月に、ドイツ国防省から公表された「主要兵器システムの重要な運用準備に関する報告書」に記載された数です。桁(けた)が間違っているのではないかと、目を疑ってしまいます。この報告書によれば、ドイツ陸軍が保有するレオパルト2は244両ですが、うち176両は保管状態(その約70%は訓練なら使用可能)で、稼働状態にあるのは差し引き68両とのことです。

【写真】現存するタイガーIと「ポルシェティーガー」

 ドイツ戦車といえば、第2次世界大戦中は「タイガーI(VI号戦車I型、ティーガーI)」「キングタイガー(VI号戦車II型、ティーガーII)」、現代では「レオパルト」が有名で、ドイツは「戦車王国」というイメージがあります。プラモデルなど、ミリタリーホビーのなかでも高い人気を誇っています。タイガーI、キングタイガーは、実戦場では数が揃わなかったことや、補給やメンテナンスの問題から、十分にその能力を発揮したとは言い切れませんでしたが、当時、他国のどんな戦車より強力でした。

 戦後になって西ドイツが開発したレオパルトシリーズは、最初の「レオパルト1」が1965(昭和40)年に配備が始まって以降、改修を重ね「レオパルト2」となり、21世紀に入っても世界各国で採用されるベストセラーとなりました。数多くのバリエーションも存在し、ライセンス生産も含めると8000両以上が生産されたと言われています。しかし現在、ドイツ本国で稼働する戦車は100両にも足りません。陸上自衛隊の戦車数640両(「平成30年版防衛白書」による)と比較しても桁違いに少ないのです。

WW2後「戦車王国」になったワケ

 第2次世界大戦後、ヨーロッパは、資本主義経済体制を採るアメリカを中心とする西側陣営と、社会主義経済体制を採る旧ソ連を中心とする東側陣営に分かれ、軍事的には西側(NATO軍)、東側(ワルシャワ条約機構軍)として対峙する「冷戦時代」を迎えます。

 ドイツは、西側に属するドイツ連邦共和国(西ドイツ)と、東側に属するドイツ民主共和国(東ドイツ)に分割されてしまい、西ドイツはNATO軍の最前線に立たされました。レオパルトシリーズはその対立のなかで生まれ、ドイツ連邦軍は2000両以上の戦車を保有する、堂々たる「戦車王国」でした。

 一方の、ワルシャワ条約機構軍の最前線は東ドイツになります。しかし東ドイツでは、レオパルトのような戦車どころか装甲車すら開発されず、東ドイツ陸軍の戦車は全て旧ソ連製でした。そこには、東側の盟主たる旧ソ連の意向が強く働いていました。旧ソ連も第2次世界大戦では、傑作戦車「T-34」などを生み出した「戦車王国」で、ドイツのタイガーなどと直接砲火を交えて、ドイツ戦車の威力を知り抜いています。旧ソ連は東ドイツを全面的には信頼しておらず、「戦車王国」の復活を恐れたのではないかと言われています。

 1980年代終わりまで、ヨーロッパには東西ドイツの国境を挟んで、3万両以上の戦車がひしめいていたのです。

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