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「何も間違っていない」2人が選んだ道 戸籍上は他人…でも“新婚”カップル

2/11(月) 8:30配信

西日本新聞

 平成という時代が暮れゆく。30年で変わったこと、変わらないこと。例えば、不寛容、無関心、自己責任という冷ややかな言葉が世の地表をひたひたと覆う一方、私たちはスマートフォンの画面と向き合って過ごす時間がずいぶん増えた。

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 インターネット上の百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」は2001年、21世紀の到来とともに登場した。ウィキを含むネット検索は、仕事の調べ物や私生活での店選びなど、日常に定着した。でもリアルな世の中は、検索しても出てこない無数の「私」の関わりで形づくられている。一人一人の物語を重ね、編さんされていく「私」の事典。連載を“ワタシペディア”と名付け、新たな時代の節目をいくつもの「私」を通して見詰めてみたい。

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 福岡市に住む幸男さん(34)と景子さん(33)=いずれも仮名=は“新婚”カップルだ。共通の友人の紹介で5年前の夏に出会った。初めて言葉を交わしたとき、「この子とずっと一緒にいたい」と思った彼は1カ月後、気持ちを伝えた。彼女は二つ返事で受け入れた。同棲(どうせい)を経て昨秋、彼の誕生日にゴールインした。

 幸男さんは飲食店の料理長、景子さんは病院の作業療法士として働く。駅から自転車で10分、メゾネットタイプの2LDKのアパートに住む。ネコのコロも一緒だ。しっかり者の彼女が掃除にいそしむ中、マイペースの彼は寝そべってテレビを見ている。長い休みが取れれば、沖縄の宮古島や座間味島で一緒にスキューバダイビングを楽しむ。

 彼、幸男さんの戸籍上の性別は女だ。25歳の時、性同一性障害と診断された。

 物心つく頃から自分の性別に違和感があった。「中学生が、よく同級生の男子で誰が好きか、とか言い合うでしょ。無理して男性の名前を挙げていました」。高校時代、同級生の女子と初めて交際した。自分の心の性が男であるとはっきり気付いた。当時、2000年代が始まった頃、ハリウッド映画や上戸彩さん出演のテレビドラマ「金八先生」が性同一性障害を扱って話題になった。それでもまだ認知度は低く、得られる情報も少なかった。「自分は一体何者なのか」。ふさぎ込んだ時期もあった。

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最終更新:2/11(月) 11:08
西日本新聞

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