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【点描・永田町】立憲と国民「蝸牛角上の争い」

2/11(月) 19:01配信

時事通信

 「亥(い)年選挙」と呼ばれる政治決戦に向けて、通常国会の与野党論戦がスタートしたが、国会召集直前に勃発した立憲民主と国民民主両党の「数」をめぐる主導権争いが、国会での与党攻撃に水を差しかねない状況だ。参院の野党第1会派をめぐり、1月24日に国民が自由党、立憲が社民党と、それぞれ統一会派を相次いで結成したからだ。

【図解】政党支持率の推移

 第1会派を狙う国民の動きにすぐさま立憲が対抗したものだが、政界では「国民からは『蝸牛角上(かぎゅうかくじょう)の争い=小さな者同士のつまらない争い=』にしか見えない」(自民党幹部)との冷笑が広がる。

 先行したのは国民の玉木雄一郎代表で、24日午前に自由の小沢一郎代表と「将来の合流」を視野に統一会派結成で合意した。それまで国民の参院会派は23人で、参院4人の自由が加われば立憲の25人を超えるとの計算からだ。

 しかし、立憲もすかさず社民党(参院2人)との統一会派結成で対抗して、計27人で並んだ。さらに、国民からの離党を表明した議員の立憲入党で第1会派を維持する流れだが、国民が同議員の離党を認めないなど、前代未聞の“泥仕合”を展開した。

 衆院では、「無所属の会」の岡田克也元外相ら9人の立憲会派入りなどで、立憲が国民に大差をつけた野党第1会派となっているが、参院では前臨時国会から「数」をめぐるつばぜり合いが続く。

 しかも、政党支持率で国民に大差をつける立憲が、衆参で国民からの“引き抜き”工作を展開していることで、両党の感情的対立が際立ち、参院本会議での質疑順もくじで決める異例の事態となった。

枝野氏への“二枚舌”批判も

 今回の国民、自由両党の合流構想は「野党結集という究極の目標への第一歩」(玉木氏)との位置付けで、“仕掛け人”の小沢氏も「立憲と国民の勢力が拮抗(きっこう)すれば、野党結集への機運が高まる」ことを狙ったとみられる。

 野党再結集による政権交代に執念を燃やす小沢氏は、当初は「野党第1党の立憲を中心とした大同団結」を目指して根回しを続けてきたが、立憲を率いる枝野幸男代表の「頑(かたく)なな態度」(小沢氏側近)に業を煮やし、国民との連携に転じたとされる。

 政党支持率が1%前後に低迷し、離党者も相次ぐ苦境に置かれた玉木氏だけに、「国民・自由合流に賭けるしかなかった」のが実態だ。

 ただ、6年余り前の民主党政権崩壊の引き金となった「小沢氏による民主党分裂」への“恨み”は、現在の立憲、国民両党幹部にも依然根強く、統一会派を了承した国民内部にも「また小沢氏に引っかき回される」との不安から、「合流」への反対論は多い。

 その一方で、急きょ社民を取り込んだ立憲も、枝野代表が「永田町の数合わせには与(くみ)しない」と叫んできただけに、国民側は「言っていることとやっていることが違う」(幹部)と反発している。

 立憲側は「党と党の合流ではないので……」(長妻昭代表代行)と苦しい言い訳をするが、他党からは「結局は永田町の数の論理を優先している」(自民幹部)と“二枚舌”批判にさらされている。

 玉木、小沢両氏は「安倍政権打倒には大同団結しかない」と、野党再結集を“錦の御旗”に掲げるが、永田町では「かえって主要野党内の亀裂を拡大させる」との見方も少なくない。

 毎月勤労統計調査の不正発覚など、安倍晋三首相の政権運営の火種が拡大する中での主要野党の主導権争いには、「あまりにもお粗末な争い」(日本維新の会幹部)、「敵(与党)に塩を送るだけ」(共産党幹部)との声が広がる。

 野党の選挙共闘への調整も難航しているだけに、立憲、国民両党の“良識派”は「内輪もめをしている場合ではないのに」(閣僚経験者)と、首を傾(かし)げるばかりだ。(政治ジャーナリスト・泉 宏)

(時事通信社「地方行政」2月4日号より)

最終更新:2/11(月) 19:01
時事通信

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