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固体ロケット「イプシロン」が切り開く宇宙ビジネス 小型衛星を安価に打ち上げ

2/11(月) 18:02配信

THE PAGE

イプシロンで打ち上げられた7基の人工衛星

 今回、イプシロンロケット4号機で打ち上げられたのは、「革新的衛星技術実証1号機」です。といっても、この名称は1基の人工衛星を指すものではありません。今回の場合は、重量約200キロの小型実証衛星1号機(RAPIS-1=ラピス・ワン)と重量50~70キロほどの超小型衛星3基、1辺10センチほどとさらに小型の衛星「キューブサット」3基の合計7基の人工衛星をすべて合わせて革新的衛星技術実証1号機と称しています。

 JAXAは、こうした民間企業や大学などが開発した部品、機器、超小型衛星、キューブサットの実証試験を宇宙空間で実施する機会を提供するために「革新的衛星技術実証プログラム」を実施しています。今回の革新的衛星技術実証1号機に搭載されたのは、このプログラムの1回目の公募で提案された実証テーマから選ばれたものです。

 最近は、民間企業や大学などでも、独自の超小型衛星やキューブサットを開発することが多くなっていますが、製造した人工衛星を宇宙空間へ運ぶ方法は限られ、気軽に宇宙で実証実験をすることはできません。日本では、H2Aロケットにおいて、主衛星を搭載した後の空きスペースを利用して超小型衛星を相乗りさせる試みも行われてきましたが、投入される軌道などは主衛星の条件が優先されてきました。当然のことながら、人工衛星などの宇宙機に搭載するために開発した部品や機器を宇宙で実証実験する機会はまったくありませんでした。

 革新的衛星技術実証プログラムは、宇宙開発に取り組む民間企業、大学などに宇宙での実証実験の場を提供することで、宇宙技術の研究、開発を促進、加速していくという狙いがあります。そして、このプログラムの最大の特徴が、超小型衛星、キューブサットといった完成した人工衛星だけではなく、半導体、センサー、観測機器などの部品や機器の段階でも宇宙での実証実験ができることです。

 部品や機器の実証のためにつくられたのが、小型衛星のRAPIS-1です。RAPIS-1には、高エネルギーの放射線である宇宙線への耐性が強い半導体、環境への負荷が低い新型燃料と推進装置、民生品を用いた安価な姿勢制御用のスタートラッカーと地球センサー、薄膜太陽電池を支持するための軽量パドルなど、6つの機関から提案された7つの部品や機器が搭載されています。これらの機器は、これから1年間の実証試験がおこなわれます。

 この衛星は、開発、製作から運用までをJAXAが初めて民間企業に委託したもので、小型衛星を多数製作し、運用してきた実績を持つ宇宙ベンチャー企業のアクセルスペースが担当しています。JAXAはそれぞれの部品や機器の計測手段などを提供し、宇宙での実証実験が効果的に実施できるよう調整してきました。

 人工衛星は、一度、宇宙に出てしまうと簡単に修理することができません。そのため、搭載される部品や機器は、宇宙空間でも故障しないように高い信頼性が求められますし、実績のないものは敬遠される傾向にあります。しかも、新しい部品や機器を実際に宇宙で試験する機会はほとんどないために、実際に宇宙機に採用されるまでには、長い時間がかかってしまいます。しかし、RAPIS-1によって、宇宙実験をすることで、それぞれの部品や機器を宇宙で使用した実績ができ、その実績をもとにして、ビジネスにつなげていくことが可能になります。

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最終更新:2/12(火) 18:29
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