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芥川賞候補、川口出身の作家・鴻池留衣さん「運がよかった」 ウィキペディアの体裁、今の時代を色濃く反映

2/11(月) 10:34配信

埼玉新聞

 第160回芥川賞の候補にもなった埼玉県川口市出身の作家、鴻池留衣(こうのいけ るい)さん(32)=本名非公表、熊谷高校卒=の「ジャップ・ン・ロール・ヒーロー」(新潮社)は、ウィキペディア(インターネット上の百科事典)の体裁でストーリーが展開していくユニークな小説だ。「書簡体小説があるのだから、ウィキペディアを使った小説があったら面白いかなと思った」と語る。

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 鴻池さんは1987年、川口市生まれ。深谷市内の小、中学校に通った。子どもの頃はインドア志向で、家でよく映画を見ていたという。県立熊谷高校時代は帰宅部。放課後は「熊谷、深谷周辺を徘徊していた。怪しげな工業団地とか」と笑う。同校について「ありとあらゆるタイプの男子がいるところ。楽しかった」と振り返る。卒業後、大学進学のために深谷市を離れ、現在は都内在住。

 小説に目覚めたのは慶応大文学部在学中。会員制交流サイト(SNS)の「ミクシィ」で、友人を楽しませようと自分が主人公の架空日記を書いているうちに、「小説を書きたい」という思いが募り、物語を書くようになった。入間市育ちの作家・滝口悠生(ゆうしょう)さん=所沢高校卒=が、2011年に新潮新人賞を受賞したことに刺激を受け、自身も作品を送ったところ同賞を受賞。16年に「二人組み」でデビューした。その後芥川賞を受賞した滝口さんとは親交があり、「尊敬する先輩」だという。

 「ジャップ・ン~」は、11年に結成されたロックバンド「ダンチュラ・デオ」のメンバーで、大学のバンドサークルに所属する「僕」と思われる人物がウィキペディアに書き込んで編集する形で物語は展開する。1980年代にスパイ活動をして突然消えた同名バンドをコピーする「設定」なのだが、動画で人気が出始める。さらにネット上で存在するだけだったオリジナルバンドがリアリティーを持ち始め、メンバーは血なまぐさい出来事に巻き込まれていく。インターネットが浸透した今の時代を色濃く反映した作品だ。

 鴻池さんは「この作品を書き上げた時、こんなふう(芥川賞候補)になると思わなかった。好き勝手に書いたのに、運がよかった」と語る。メタルバンドが好きで、長髪のヘアスタイルは「(ヘビーメタルミュージシャンの)セバスチャン・バックを目指している」と話した。

最終更新:2/11(月) 10:34
埼玉新聞

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