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韓国、南北統一も…待つのは「貧困化」と「核地獄」か 文大統領は“悲惨な末路”どこまで理解?

2/12(火) 16:56配信

夕刊フジ

 ドナルド・トランプ米大統領は8日(日本時間9日)、27~28日に予定している米朝首脳再会談は、ベトナムの首都ハノイで開催するとツイッターで発表した。朝鮮半島に“激動の兆し”が見えるなか、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領について、娘夫婦の海外移住や政府の支援金問題が報じられ始めた。同国では、歴代大統領が悲惨な末路をたどるが、文氏は「北朝鮮との統一」に活路を見いだそうとしている。ただ、国際投資アナリストの大原浩氏は、南北統一は「韓国の貧困化」を招くだけでなく、「朝鮮半島が火薬庫と化す」恐れがあると警鐘を鳴らす。

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 文氏が左派であり、日米両国との友好関係にひびを入れてでも北朝鮮との融和を図ってきたことは読者の目にも明らかだろう。ただ、文氏が、北朝鮮に媚(こ)びるかのように金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に接近し、南北朝鮮の統一を急ぐ理由は、その政治信条だけが原因であろうか。

 文氏をめぐっては、韓国のメディアで娘夫婦が海外に移住したと報じられたほか、娘婿の元勤務先に政府から約20億円の資金が供給されていたとの疑惑も浮上した。

 毎度のことであるが、韓国の歴代大統領やその親族らは退任後に悲惨な運命をたどっている。このような韓国特有の事情を考えれば、左派の現役大統領が今のうちに「朝鮮統一」に道筋をつけ、身の安全を確保したいと考えても不自然ではない。

 東西ドイツが1990年に再統一された際、旧東ドイツの1人当たり国内総生産(GDP)は西ドイツの3分の1から半分程度で、人口は4分の1ほどであった。それでも統合には莫大(ばくだい)な費用がかかり、その後のドイツ経済を苦しめた。現在でも旧東ドイツの1人当たりGDPは旧西ドイツ地域の80%程度である。

 朝鮮統一のケースを考えると、韓国の1人当たりGDPは約3万ドル(約330万円)で、人口は約5000万人。これに対し、北朝鮮の1人当たりGDPは1800ドル(約19万8000円=推定)で、人口は2500万人程度(同)とされる。

 ただ、北朝鮮のGDPの大部分が金一族の支配下にあるとされ、庶民の1人当たりGDPは実際には月額1ドル、年間12ドル程度との報道もある。

 このような絶望的格差がある中で、左派以外の一般の韓国人が、本音では朝鮮統一など全く望んでいないといわれるのも無理はない。南北が統一される場合、北朝鮮に合わせる形で韓国の生活水準が下がることが予想されるためだ。

 米トランプ政権も「北朝鮮主導」で統一を容認する可能性が高いと筆者は考える。

 軍事戦略において味方の裏切りほど手痛いものはない。「味方のふりをしている敵」よりも、最初から「敵」と分かっている北朝鮮を交渉相手にしたほうが合理的であるためだ。これはトランプ大統領が正恩氏との会談を重視していることからも明らかだ。

 最近の日露平和条約交渉の急速な進展や、中距離核戦力(INF)全廃条約の破棄の動きにも注意が必要だ。米国の最大の脅威は、旧ソ連に匹敵する力をつけつつある共産主義中国であり、もはやロシアではない。

 米国としてはむしろ共産圏ながら中国とは微妙な関係にあるロシアを味方に引き込みたい。しかし、米国内では「ロシア疑惑」が尾を引いているので、盟友である安倍晋三首相の力を借りてロシアとの関係を友好的に維持したいのだろう。

 INF条約の破棄もデキレースであろう。INFは最大射程5500キロで、ロシアから米国には届かないが、中国の主要都市には十分届く。トランプ大統領の狙いは、大量に製造されたINFの発射台を中国に向けさせることであろう。

 中国の不倶戴天の敵であるインド、米軍基地のある日本と朝鮮半島、それにロシアを引き込めば、中国包囲網が完成し、習近平国家主席は手も足も出せなくなる。

 そうしたトランプ戦略において、「朝鮮統一」問題は、北朝鮮に存在する「核ミサイル」をどこに向けさせるかも含めて、重要な意味を持ってくる。米中対立の最前線である朝鮮半島は、文字通りの火薬庫になる恐れもあるのだが、文氏はどこまで分かっているのだろうか。

 ■大原浩(おおはら・ひろし) 人間経済科学研究所執行パートナーで国際投資アナリスト。仏クレディ・リヨネ銀行などで金融の現場に携わる。夕刊フジで「バフェットの次を行く投資術」(木曜掲載)を連載中。

最終更新:2/12(火) 17:52
夕刊フジ

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