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レンガ造りの「旧網干銀行」 レストランとして再生へ

2/12(火) 11:13配信

毎日新聞

 20世紀初頭にドイツやオーストリアで広がった建築様式を取り入れた大正時代のレンガ造りの洋風建築「旧網干銀行」(兵庫県姫路市網干区新在家)の建物が今年6月にも、レストランとして再生される。老朽化とともに取り壊されることの多い近代建築を使用しながら存続させるユニークな取り組みで、専門家は「地域の文化遺産を継承する貴重な試みだ」と評価している。

 旧網干銀行は大正時代に存在した銀行で、その後合併で神戸銀行(現三井住友銀行)となった。建物は1921(大正10)年ごろ、本店として建てられたレンガ造り2階建て。角に塔のようなデザインが施されるモダンな造りだ。所有者の交代で、1970年から洋装店として使われており、店主の男性(87)が2015年に閉店。譲渡先を探していたが、老朽化が進み、引き取り手が見つからなかった。

 昨年春、姫路市の会社役員、鵜鷹(うたか)司さん(57)が知人のSNSの投稿で建物の存在を知って見学に訪れた。「建築に詳しくない自分にも『次の世代につなぐべき建物や』と使命を託された気がした」と話し、昨年8月に購入を決めた。

 この建物について、京都工芸繊維大の清水重敦教授(建築史)は「ゼツェッション(分離派)と呼ばれる当時の最新様式を取り入れながら、多種多様な造形要素を詰め込んでいる。当時の関西の活気あふれる空気を今に伝える。文化財的意義が高い」と評価する。

 鵜鷹さんは「建物自体がごちそう。人々が集って、心を満たせる場所にしたい」と夢を膨らます。改修に向けては、地域の人や建築の愛好家らに関わってもらう仕組みを考えており、今月23日、播磨地域の建築士らと共に「ワークショップ」を開く。改修作業では1階ロビーの吹き抜けを再生し、使われないままだった大型金庫も活用する予定だ。

 清水教授は「登録有形文化財に申請すれば認められる物件」と話す。登録有形文化財に申請して文化庁に認められれば、建物の固定資産税が減額される。しかし、老朽化が進むと補修費がかさみ、所有者が登録有形文化財を取り壊したりする事例も相次ぐ。文化庁によると、1996年の制度開始以来、2月1日までに登録有形文化財全体の1・5%に当たる約190件について所有者が申請を取り下げ、壊されたという。清水教授は「活用して残すという網干のこういう動きは貴重だ。ぜひ協力したい」と話す。【幸長由子】

最終更新:2/12(火) 12:28
毎日新聞

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