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「バイトテロ」は訴えても抑止できない、3つの理由

2/12(火) 8:27配信

ITmedia ビジネスオンライン

「企業に対する憎悪」が原動力

 なぜそんなことを言えるのかというと、これまで20年ほど記者やライターをやってきて、企業のスキャンダルや、内部の人間しか分からぬような問題を役所やメディアにリークしてきた方たちに多くお会いしてきたが、その中で「企業に対する憎悪」が原動力となっている元従業員・元バイトの方が多くいらっしゃったからだ。

 訴訟などで企業と全面対決している元従業員や元バイトというのは、これまで業務で得た内部情報、企業にとって都合の悪い話をリークすることが多い。企業側に非があることを世間に浸透させれば、法廷闘争も自分たちに有利に運ぶからだ。そういう力学が強く働く中で、パワハラや過重労働、業務に関する不正行為が発覚してしまう企業は非常に多いのだ。

 今回の「くら寿司」の従業員2人が報復をする、などと言っているわけではない。ただ、もしこのような「バイトテロ」への法的措置が、企業危機管理の手法として市民権を得ていくと、その反動として、従業員側の内部告発もさらに活性化して、「泥仕合」になっていく恐れがある、と申し上げているのだ。

 では、法的措置がよろしくないというのならば企業は、「バイトテロ」という問題にどうのぞんでいけばいいのか。

 よく言われている「対策」としては、「コミュニケーションをしっかりとって責任感を持たせる」とか「アルバイトだと軽視しない」「働きがいを感じさせて店の代表という意識を芽生えさせる」なんてのが挙げられるが、これらはぶっちゃけあまり現実的ではない。

 皆さんも体験があるだろうが、外食やコンビニのバイトはいつもシフトでカツカツに働かせられている。コミュニケーションだ、やりがいだ、というような従業員研修やコーチングなんてことに割く時間あるのならわずかでもシフトに入ってもらいたい、というのが雇用者側の本音だろう。

 じゃあ店が終わったらやるのかというと、正社員ならいざ知らず、なぜバイトがそんなしょうもない時間外労働に付き合わなくてはいけないのだという問題もある。

 コミュニケーションを密にとって、思いが一つになれば組織内の問題は解決できる――という精神至上主義というのは、日本社会のパワハラやブラック企業問題の根っこにもある「病」であって、それをバイトに押し付けたところで、事態をさらに悪化させるだけなのだ。

 法的措置もダメ、コミュニケーションもダメだったらもう「バイトテロ」を抑止する方法などないと絶望する企業も多いだろうが、実はワイドショーのコメンテーターなどが決して口にしない、効果てき面な秘策が一つ残されている。

 それは「賃金アップ」だ。

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