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交通系ICカード「エリアまたぎ」の利用なぜ難しい? JRで東京から沼津は不可

2/12(火) 6:02配信

乗りものニュース

同じ路線の駅なのにICカードで乗降できない…なぜ?

 最後にきっぷを買ったのはいつのことか覚えていますか。いまや首都圏では「Suica」や「PASMO」など交通系ICカードの利用者が9割以上を占めているそうです。2013(平成25)年には交通系ICカードの「Kitaca」「Suica」「PASMO」「TOICA」「manaca」「ICOCA」「PiTaPa」「SUGOCA」「nimoca」「はやかけん」で「交通系ICカード全国相互利用サービス」がスタートし、国内多くの都市の交通機関を1枚のICカードで利用できるようになりました。

【写真】大量! 沼津駅の「IC不可」案内

 ただし「相互利用」といっても制約があり、それぞれのエリアをまたいで利用することはできません。JR東京駅でSuicaを使って入場し、そのままJR大阪駅まで行って出場することができないように、ICカードは各エリア内で完結する利用が前提となっています。

 そんなことは当たり前だと思うかもしれません。しかしこのルールを適用すると、同じ路線の駅なのにICカードで乗降できないケースが発生してしまいます。たとえばJR東京駅の改札にICカードをタッチして入場し、東海道線に乗ってJR沼津駅(静岡県沼津市)で自動改札機にタッチしてもゲートは開きません。東京駅はJR東日本のSuicaエリアですが、沼津駅はJR東海のTOICAエリアだからです。同様にTOICAエリアのJR大垣駅(岐阜県大垣市)で入場し、ICOCAエリアの米原駅(滋賀県米原市)で出場することもできません。

 こうしたICカードの境界駅を越える利用者数は決して多いわけではありませんが、地元自治体や利用者からは、利便性向上のために異なるエリアをまたいで使えるようにしてほしいという声が上がっています。なぜこのような制約を、わざわざ設けているのでしょうか。

エリアが一体化したケースもあるが…

 全国相互利用を行っている10種類の交通系ICカードは、いずれもソニーが開発した「FeliCa(フェリカ)」という技術を採用しています。FeliCaはデータを格納する記憶領域を複数持っており、カード固有IDとカード内に保存されたデータをサーバと通信して処理を行います。

 そのうちカード残額や入場・出場駅など運賃計算に必要な記録の記憶領域とデータの形式は、日本鉄道サイバネティクス協議会が制定した「サイバネコード」によって共通化されているため、ほかのエリアでも利用が可能です。

 しかし鉄道利用に関するすべてのデータが共通化されているわけではなく、たとえばICOCAやmanacaなどでJR東日本の「Suicaグリーン券」を購入できないのは、当該の記憶領域を別の用途で使用しているからと考えられます。

 さて、ここまで「ICカードは異なるエリアをまたいで利用できない」と書いてきましたが、首都圏の人たちが当たり前のように使っている“あのカード”は、異なるエリアをまたいで使えることに気付きます。そう、SuicaとPASMOです。どちらのカードでも、PASMOエリアの地下鉄で入場して、直通先のJRで当たり前のように下車できます(地下鉄とJRが直通運転する福岡のSUGOCAとはやかけんの関係も同様)。

 SuicaとPASMOは特別な関係だからでは、と思うかもしれません。しかし全国10種類の交通系ICカードが、それぞれのシステムを接続して相互利用を実現するための「相互利用センターサーバ」は、実はPASMO導入にあたって設立されたものであり、Suicaにとってシステム上の関係は、PASMOもその他の交通系ICカードも基本的には変わらないのです。つまり、SuicaとPASMOが実現しているように、SuicaとTOICAもエリアまたぎの壁を越えることは、技術的には可能なはずです。

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