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立憲民主党がいそしむ露骨な「引き抜き工作」

2/12(火) 21:15配信

産経新聞

 立憲民主党が忌避してきたはずの「永田町の数合わせ」にいそしんでいる。結党以来、政党同士の国会会派結成を拒んできたが、参院野党第一会派をめぐる国民民主党との争いを見据え、年明けに社民党との参院会派結成へ舵を切った。夏の参院選に向け、他党からの候補者の引き抜きも公然化しつつある。支持率低迷に悩む国民民主党につけ込み、刺客の擁立をちらつかせて離党を迫る立憲民主党の手法には、旧民主党の同僚らが冷ややかな目を向ける。

 「最大でも(参院選のある)夏までの会派なので何の問題もない。政党を1つにするなら(憲法改正など)中長期的な考えを一致させるべきだが、院内における話は別だ。実態は何も変わらない」

 立憲民主党の枝野幸男代表(54)は1月28日、社民党との参院会派結成と従来の方針との整合性を記者団から問われると、不快そうにこう語った。

 立憲民主党はこれまで、政党同士の会派結成に距離を置いてきた。岡田克也元副総理(65)率いる衆院会派「無所属の会」から統一会派結成を求められても、枝野氏は応じなかった。

 方針を転じた理由は、参院における国民民主党との主導権争いに他ならない。

 立憲民主党の福山哲郎幹事長(57)は同月24日昼、社民党の又市征治党首(74)と面会し、両党が参院で統一会派を結成することで合意した。立憲民主党が他党の党籍を持つ議員と会派を組むのは初めてとなる。方針転換したのは、数時間前に国民民主党と自由党が統一会派結成で合意し、参院の立憲民主党会派(25人)が国民民主党会派(27人)を下回ることになったためだ。

 統一会派結成は、立憲民主党側から社民党に打診した。福山氏は、その理由について「野党第1党として、衆参で国会運営に責任を果たすことが優先順位が高いと判断した」と記者団に説明した。

 枝野氏は社民党との参院会派結成について「社民党と会派を一緒にしていない。衆院では会派は別々だからだ」とも語り、行動を正当化する。とはいえ、参院で野党第1会派を奪還するため、同月28日の通常国会召集前に急いで動いたのは明らかだ。

   × × ×

 立憲民主党は、政策や理念を同じくする議員の個別入党のみを認める建前で党勢拡大を図ってきた。しかし、今では夏の参院選を前に、露骨な引き抜き工作も目立つ。

 立憲民主党の手塚仁雄衆院議員(52)は1月25日の会見で、塩村文夏元東京都議(40)を立憲民主党の参院選東京選挙区候補として擁立することを目指す考えを示した。

 塩村氏は昨年6月、国民民主党の衆院広島3区の公認候補に内定していた。これまでは同党の資金をもとに活動していたはずだ。手塚氏は、昨年末から塩村氏に移籍を打診し、最終的に1月初旬、大阪府内で面会して国民民主党からの離党を決断させたと明かす。

 手塚氏は会見で「不幸にも旧民進党の仲間が(希望の党と立憲民主党などに分かれた)平成29年衆院選を境に、こういう状況になっている。人材と思う人にチャンスを与えることができるならば、アプローチする」と述べた。

 立憲民主党の引き抜きは塩村氏に限らない。藤田幸久参院議員(68)は、立民からの出馬が不透明なまま1月25日に国民民主党に離党届を提出した。

 関係者によると、今年改選を迎える参院議員には、立憲民主党の架空の候補が同じ選挙区に出馬した場合の世論調査の数字を示し、国民民主党に所属したままでは落選の確率がいかに高いかを示すという。

 同月15日に国民民主党を離党した伊藤俊輔衆院議員(39)も、地元関係者は「伊藤氏は立憲から『入党しなければ対立候補を立てるぞ』と脅されていた」と明かす。

 立憲民主党会派に所属する中堅議員は「一刻も早く国民民主党を無くさないと何も動かない」と打ち明ける。野党の主軸が2党に割れたままでは勢力を結集できず、巨大与党の自民党を利するだけだとの思いが背景にあるからだ。

 ただし、かつての同僚が所属する国民民主党の消滅にいそしむ立憲民主党は国民から広範な支持が得られるのだろうか。同じ議員は「自分たちが何をいっても無理だ。この党は枝野氏と福山氏がすべてを決めるから」と嘆いた。

 立憲民主党の屈辱的な仕打ちにも国民民主党の玉木雄一郎代表(49)はなぜか楽観的だ。

 「来る者拒まず、去る者追わず。われわれは温かい包み込むような中道政党ですから」

 自由党の小沢一郎代表(76)と協力関係を深める中で、別の「次の一手」を考えているのだろうか。(政治部 奥原慎平)

最終更新:2/12(火) 21:15
産経新聞

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